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2007年02月24日(土) 10時54分

ドイツで「産む機械」論争 司教発言きっかけに朝日新聞

 日本と同様に少子化に悩むドイツで、カトリック司教の「産む機械」発言をめぐる論争が起きている。政府が検討中の保育所増設計画に対し、司教が「幼児が母親から離され、女性を『産む機械』に格下げする」と批判したのがきっかけだ。カトリックは国内に強い影響力があり、保育所の利用者などが猛反発。メルケル首相も23日、「産む産まないは自由だ」と批判したが、司教に発言を取り消す気配はない。

 独メディアによると、南部アウクスブルクのワルター・ミクサ司教(65)が22日、教会を訪れた人々に「保育所増設は女性を労働力として産業に組み込むことを優先している。女性を産む機械に格下げする」と発言した。メディアはこの発言を一斉に報じ、有力紙フランクフルター・アルゲマイネは「子育てしながら働く女性の負担は大きい。『産む機械』という表現はやめるべきだ」と批判した。

 政界も反応。連立与党・社会民主党の男性議員は「女性軽視だ」と司教退任を要求。野党90年連合・緑の党の女性党首も「働く女性の現状を考えていない」と語った。

 ローマ法王ベネディクト16世の故郷でもある同国は南部などでカトリック信仰が強い。司教は23日、テレビに出演し、「批判は承知しているが後悔していない」と発言の撤回を拒み、「86%の女性が幼子を育てることに専念している」と論じた。

 独政府は今月、2013年までに保育所を3倍に増やすよう検討すると表明していた。

http://www.asahi.com/international/update/0224/010.html