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2007年02月24日(土) 00時00分

クラスター爆弾禁止へ条約 米は会議不参加朝日新聞

 国連などが非人道的だと批判しているクラスター爆弾をめぐり、ノルウェーが呼びかけた国際会議は23日、08年末までに使用、製造、移動、備蓄を禁止する条約の締結を目指す「オスロ宣言」を採択し、閉幕した。49カ国と国連機関、NGO(非政府組織)が参加。このうち日本とポーランド、ルーマニアの3カ国だけが宣言に加わらない意向を表明した。今後、条文の整備などを急ぐ。

 97年の対人地雷禁止条約に至った「オタワ・プロセス」と同様、意欲のある国々が国連外で軍縮を進める。宣言自体に拘束力はないが、地雷のように軍事大国も意識せざるを得ない枠組みに発展するかが注目される。

 会議参加国は最終日にコロンビアが加わり、49カ国となった。米国、ロシア、中国は会議に参加していない。日本代表の平野隆一・外務省通常兵器室長は「議論の進め方、方向性について立場を決める状況にない。今回は主に人道的な観点だったが、安全保障上の問題について議論することも必要だ」と話した。

 宣言には、備蓄している爆弾の廃棄、使用された爆弾の除去のほか、被害者のケアの分野で国際協力する枠組み作りも盛り込まれた。

 クラスター爆弾の一律的な禁止に消極的な英国やフランス、日本などは「禁止するクラスター爆弾の種類の精査が必要」と主張。そのため、宣言では対象を「民間人に受け入れがたい苦痛を与えるクラスター爆弾」として具体的な中身は今後の検討に委ね、英仏は賛成に回った。

 当初案には、条約締結までの間、クラスター爆弾の使用・移送を禁じる国内法整備などを検討することも盛り込まれたが、一部の国が難色を示したため見送られた。

 クラスター爆弾をめぐっては、昨年のイスラエル軍のレバノン侵攻やイラク戦争による被害をふまえ、国際的な規制を求める国が増えている。だが、国連の「特定通常兵器使用禁止・制限条約(CCW)」での議論は進まず、昨年11月の締約国会議でも規制への動きはなかった。

 今回の動きの中心は、ノルウェーのほかアイルランド、ニュージーランド、メキシコ、オーストリアなど。対人地雷禁止条約締結で中心的な役割を果たした国々と重なっている。

 ノルウェー政府は会議に関心を示したすべての国を受け入れており、英国、仏、ドイツなどのG8メンバーも参加したが、CCWでの議論を進めるべきだという意見が強く、全面禁止に向けた早急な動きを牽制(けんせい)していた。

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 〈クラスター爆弾〉 多数の子爆弾を容器に詰めた形で、不発率が数%〜数十%あるとされ、戦闘後も多くの死傷者が出ている。航空機からの落下のほか、ミサイル搭載も可能。米国のNGO「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」によると34カ国で製造され、米英など73カ国が備蓄。日本も自衛隊が保有している。イラクやアフガニスタンで米軍などが使用した。

http://mytown.asahi.com/usa/news.php?k_id=49000000702240006