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2007年02月24日(土) 00時00分

館山で「ソラマメ限定」オーナー制度朝日新聞

 館山市の農家らが、「ソラマメ限定」のオーナー制度を始めている。ソラマメはかつて館山周辺の特産品だったが、生産農家は減り、今や知る人も少なくなった。高齢化の進展で遊休農地が目立つなか、オーナー制度で特産品を復活させ、町の活性化の起爆剤にする狙いだ。制度は口コミで広がり、2年目の今年は昨年の倍近い応募がすでに寄せられている。(北村有樹子)

 この制度のとりまとめ役は、市内で電器店を営む和泉俊明さん(58)。今季は企画に賛同した農家2人が、約4千平方メートルの遊休農地を市内の農家から借り、各区画のオーナーを募集した。昨年は、別の農地で約10平方メートルごとに区画、年1万円で貸したところ、県内外の約50人がオーナーになった。

 しかし、10平方メートルだと収穫量が多すぎるため、2年目の今年は1区画の広さを約5平方メートルにし、年5千円で貸し出すことにした。栽培が順調に進めば平均約5キロが収穫できる。ただ不作でも4キロ分は保証し、できあがりを各オーナーに直送する。

 日頃の栽培・管理は協力してくれる地元農家10人ほどが担うが、オーナーが畑に出向いて、草取りや収穫も体験できるという。

 館山を始めとする安房郡市はかつて、ソラマメづくりが盛んだった。市場に出荷するだけでなく、庭先で気軽に育てられていた。県生産振興課によると、安房郡市の生産量は66年、約2400トンあった。

 ただソラマメは栽培期間が約半年間と長く、収穫時期に大量の人手がいる手間のかかる作物。栽培作物の転換などもあって、生産者は次第に減少。75年には825トンと落ち込んだ。

 和泉さんは「ソラマメを復活させて地域ブランドにしたい」と話す。オーナーが町に来ることで活性化にもつながるのではないか、と期待を込める。農家側にも遊休農地を放置しておくより、作物を栽培するほうが畑の土壌の質も維持できるという利点がある。

 今年のオーナーは1月から100区画を募集した。すでに80区画の所有者が決まった。現在、50区画を追加して募集を続けている。農業に慣れ親しんでいない都市部の若年層からの申し込みもある。問い合わせは和泉さん(電話0470・22・7586)へ。

http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000702240003