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2007年02月24日(土) 00時00分

糸川議員脅迫事件 無断録音取材ネット流出 毎日記者 知人に提供 東京新聞

 毎日新聞社は二十三日、国民新党の糸川正晃衆院議員への脅迫事件に絡み、東京本社社会部の大平誠記者(41)が同議員に対する取材を無断録音したICレコーダーを取材協力者に手渡し、録音内容がインターネットのブログ(日記風サイト)に掲載された、と発表した。 

 同日、記者会見した伊藤芳明・東京本社編集局長は「取材した素材を取材相手の了解なく第三者に渡したのは記者倫理に外れる行為。深くおわびします。厳正に処分したい」などと陳謝。同社は同日付で、大平記者を東京本社代表室付とした。

 毎日新聞社によると、大平記者は昨年四月、衆院議員会館内の糸川議員の事務所で、東京都港区南青山の土地取引問題に関して、同議員と一対一で取材。その間、同議員に無断でレコーダーに録音した。

 その後、大平記者が旧知の取材協力者に糸川氏への取材について話したところ、「内容を聞きたい」と頼まれ、録音内容をパソコンに保存した上で同年五月、レコーダーを取材協力者に渡した。

 この取材協力者は今年一月ごろ、知人のメディア関係者にレコーダーを渡し、メディア関係者は同月十六日、自らのブログで「糸川議員本人の証言テープと証言メモを入手した」として、録音内容に基づくとみられるメモを掲載した。

 一月十九日に糸川議員の秘書が掲載に気付き、大平記者に連絡。同記者は取材協力者を通じてブログの削除を依頼し、間もなく削除された。

 しかし、メモはコピーされて別のホームページなどに現在も掲載されており、大平記者は今月二十二日に一部報道機関から問い合わせがあるまで流出の事実を上司などに報告していなかった。

 糸川議員は昨年二月に土地取引をめぐる問題を国会で質問。翌三月に福井市内のスナックでこれ以上の質問をしないよう脅迫したとして、警視庁は二十二日、暴力行為処罰法違反(共同脅迫)容疑で、中堅ゼネコン「平和奥田」相談役山元康幸容疑者(49)、前滋賀県草津市長芥川正次容疑者(48)を逮捕した。大平記者の取材は、脅迫事件の翌四月に当たる。

 毎日新聞社の事情聴取に、大平記者は「録音は正確な取材のためにやった。取材協力者とは長い付き合いで信頼関係があったが、第三者に渡すとは思わなかった」、取材協力者は「大平記者を助けようという気持ちで、公開した方がいいと思ってメディア関係者に渡した」と話したという。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070224/mng_____sya_____006.shtml