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2007年02月24日(土) 14時51分

美浜原発、事故前年に破損個所未点検を上層部に伝えず読売新聞

 11人が死傷した2004年8月の関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の配管破損事故で、2次系配管の点検を請け負っていたグループ会社が、事故の前年、関電の複数の担当者に、3号機では破損した個所を含む約30か所で配管の主要な部位の点検が行われておらず、不具合が起こる可能性があると報告していたことが、福井県警敦賀署の捜査本部の調べでわかった。

 点検個所の拡充も提案していたが、報告は関電の原発11基の運営を統括していた関電旧若狭支社(原子力事業本部に統合)の上層部には伝わっていなかったという。

 調べによると、グループ会社の日本アーム(現・日本ネットワークサポート)が配管検査を請け負った1996年以降、内部の水流に乱れが少なく、すり減りにくいとされた配管の部位で想定以上に肉厚が減少していたことが相次いで発覚。同社は03年6月、旧若狭支社の機械補修の複数の担当者らに、定期検査ごとの点検個所を倍に増やし、監視を強化すべきだと訴えた。

 担当者が具体的なデータの提示を求めたため、日本アームは同年7月ごろ、当初から継続的な監視が必要とされた配管の部位のうち、未点検個所が3発電所の計11基で700か所以上あることなどを報告したという。しかし、担当者は上層部にも報告せず、旧若狭支社として具体的な対応は取らなかった。

 県警の事情聴取に対し、旧若狭支社の関係者は「当時、支社内では大きな事故が起きないという考えが大半で、関心が低かった」などと説明したという。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070224i106.htm