記事登録
2007年02月24日(土) 10時38分

県、3者に安全要求読売新聞

原発データ改ざん・無届け工事

県から安全管理の徹底を求める異例の申し入れを受ける3電力事業者代表(県庁で)
 温排水データの改ざんや無届けの溶接工事など県内の原発で不祥事やトラブルが相次いだ問題で、県は23日、関西電力と日本原子力発電、日本原子力研究開発機構の代表者を県庁に呼び、安全管理の徹底を文書で求める異例の申し入れをした。とくに関電では今年1月の美浜3号機の運転再開直後から、人為的なミスが多発していることを重く見て、対策の内容や考え方を早急に報告するよう求めた。

 関電は1月、配管破損事故で11人の死傷者を出した美浜3号機を2年半ぶりに起動。その直後から、高浜1号機で放射能を含む1次冷却水が漏れ、作業員4人にかかったほか、大飯原発では協力会社員による放射線管理区域からの備品の無断持ち出しが発覚。美浜1号機では国の検査を受けずに緊急炉心冷却装置(ECCS)の付属配管の溶接工事を行うなど、全原発でトラブルや不祥事が相次いだ。

 筑後康雄・県安全環境部長が3者の代表に文書で申し入れ、「決してトラブルは起こさないよう、関係者全員の意識を高めてほしい」と述べた。関電の森本浩志・原子力事業本部長に対しては「日常業務の確実性が疑われかねないトラブルが相次いでいる」と厳しく注意した。

 森本本部長は「基本ルール、基本動作の不徹底などによるトラブルで、県民の信頼を大きく損わせて申し訳ない」と陳謝した。

 また、同本部長は、大飯3、4号機での温排水データ改ざん問題で、他の原発に対する調査では同様のケースは確認されなかったことを報告した。

 県内では、日本原電の敦賀原発でも温排水データの改ざんが発覚。原子力機構の新型転換炉「ふげん」では、原子炉補助建屋のコンクリート壁強度をめぐり、強度不足を示すデータが流出し、機構側が「検証前で信頼性は乏しい」と釈明に追われる事態が起きた。

関電が事前了解願 大飯1、2号機工事で

 関西電力は23日、大飯原発1、2号機(おおい町)の原子炉出力調整に使用する「ほう酸」を1次冷却水から回収する系統の改造工事について、安全協定に基づき、県と同町に事前了解願を提出した。了解されれば2008年6月から増設工事に入る。現在は1、2号機で同じ装置を共用しており、負担軽減を図る。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukui/news001.htm