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2007年02月24日(土) 23時01分

大阪市長公館を結婚式場として一般に貸し出し 財政難で朝日新聞

 「なにわの迎賓館」でハウスウエディングはいかが——。95年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の際、日中首脳会談の舞台にもなった大阪市の市長公館(同市都島区)が、結婚式場として一般に貸し出されることになった。財政難の中、維持費が年間1億円かかるのに利用が低調で、有効活用が求められていた。ブライダル業者に企画、運営を委託し、9〜11月の土、日曜日に開放する。名称も4月から「大阪市公館」に変更する。

結婚式場として一般に貸し出されることになった市長公館=大阪市都島区で、本社ヘリから

 市長公館は59年、日米両国の36市長と28商工会議所会頭らによる国際会議が大阪市で開かれた時に、迎賓館として建設された。本館は鉄骨2階建てで、延べ床面積は約1900平方メートル。和、洋2種類の庭園(計約1万2700平方メートル)があり、茶室とあずま屋も備えている。

 職員5人が常駐し、海外からの来賓の歓迎式典のほか、市民表彰式、大阪府や周辺自治体、経済団体などとの会合に使用。引退を決意した故西尾正也市長が95年9月、市幹部を集めて、当時の磯村隆文助役を後継指名するなど、大阪市政を巡る水面下の動きの舞台にもなってきた。

 しかし、年間の利用が約80日(05年度)にとどまっていることから、市は邸宅風の一軒家で披露宴を開くハウスウエディングの人気に着目。都心近くにありながら広大な庭を持つ公館を開放すれば需要があると見込んだ。対象は市民に限らない予定だ。

 結婚情報誌「ゼクシィ」(リクルート発行)の06年調査によると、大阪府内で開かれた結婚式のうち、ハウスウエディングは16.5%。ホテル(39.0%)、一般の結婚式場(19.4%)に次いで多く、年々増加傾向にあるという。

 財政難に苦しむ市は、市内の未利用地などを順次、売却する方針を決めている。職員厚遇の象徴とされた市健康保険組合の豪華保養所「ファインビュー白浜」(和歌山県)も1月に売却を決めたばかりだ。

 公館についても06年3月の市議会本会議で、「厳しい財政状況下、いっそ売り払ってもいいんじゃないかとの意見もある」と与党市議から指摘を受けた。しかし昨年初めて実施した市民への一般開放で来場者に感想を尋ねたところ、「海外からのお客さんに庭園のすばらしさをアピールできる」「見学したい人は有料でも喜んで参加する」などの意見が多く、当面は有効活用の道を探ることになったという。

 大阪市はハウスウエディングに限らず、公館の開放を積極的に進めたい考えで、07年度は各局や区の行事なども含め、150件以上の利用を目指す。市民への一般公開も、年2回から4回に増やす計画だ。

 市市長室は「市民から立派な建物や庭がもったいないと言われる。結婚式を通じ、より多くの人に親しんでもらいたい」と話している。

http://www.asahi.com/politics/update/0224/007.html