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2007年02月23日(金) 00時00分

三菱UFJがカブコムをTOB検討…個人向け取引強化ZAKZAK

ネット証券部門生き残りへ関係強化は「必然」

 三菱UFJグループはガブドットコムの事実上の筆頭株主。昨年3月末時点で、伊藤忠商事が18.32%で筆頭だが、グループでみると三菱東京UFJ銀行(16.41%)、三菱UFJ証券(10.64%)、三菱UFJ信託銀行(1.41%)が合計で約30%を保有している。TOBにより、グループの保有比率を40%前後まで高める案が有力となっている。

 三菱UFJグループにとって、リテール部門の強化は悲願。「2000年から04年まで東京三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)の頭取を務めた三木繁光氏もリテール強化をブチ上げたが、笛吹けど踊らずの状態だった。もともと三菱財閥系の企業群がバックにあり、法人の大口取引さえやっていればなんとかなるという意識が根底にあった」(関係者)

 同グループはその後、リテールに強みを持つUFJグループを飲み込んだが、「三菱側が主導権争いから、システムなどUFJのよさを十分取り込めていない。何のための経営統合だったのか分からないのが現状」(金融アナリスト)という。

 とりあえず、ネット証券部門はそうした銀行の主導権争いからは離れた位置にある上、リテール強化の可能性を秘めている分野ともいえる。三菱UFJは、同じネット証券の松井証券に対しても出資を検討している。

 一方、カブドットコムは約54万9000口座を持ち、5大ネット証券の一角を占めているが、業界最大手のSBIイー・トレード証券の136万8000口座と比べると口座数は半分以下。商品開発などで三菱UFJとの関係を強化することにより、競争が激しいネット証券界での生き残りを目指す。

 リテールに強いUFJと経営統合してもうまくその利点を生かし切れていない三菱UFJ。一方で、カブドットコムは激しい生き残り競争にさらされている。両社の関係強化は必然だったのかもしれない。

ZAKZAK 2007/02/23

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_02/t2007022314.html