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2007年02月23日(金) 00時00分

県が合併協議勧告検討朝日新聞

 県が合併特例新法に基づき、豊前市と吉富町に対し法定合併協議会の設置を求める勧告を検討していることが明らかになった。県によると、勧告するかどうか最終判断はしていないが、勧告すれば全国初になるという。

 県合併支援室によると、豊前市(人口2万8104人)と吉富町(同7053人、いずれも05年国勢調査)はこれまで、それぞれ周辺町村と合併協議を進めたが、いずれも破談した。最近は両市町の執行部が勉強会を開いて合併を模索。豊前市側から任意の合併協設置を提案する動きが出ている。

 両市町には19日、県から法定協設置の勧告について意見を聴く文書が届いた。「意見聴取」は、勧告に向けた手続きとして特例法に定められている。その中で県は、勧告を受けた場合についての自治体側の意見を尋ねている。

 両市町は20日、昨年12月に両議会が合併推進を決議していることを「真摯(しん・し)に受け止める」ことや、勧告を受けた場合は、速やかに法定協設置議案を議会に提案する考えがある、との回答を県に郵送したという。

 合併特例新法は05年4月に施行。勧告を受けた首長に対し、30日以内に合併協の設置議案を議会に提案することを求めている。旧法でも勧告はできたが、法的な拘束力はなかった。

 県合併支援室は「最終的に勧告するかどうかを含めて検討中」としている。

 合併を探る協議が難航する中で、豊前市と吉富町には「勧告をてこにしたい」との思惑があった。

 出張中の釜井健介市長の代わりに取材に応じた豊前市総務課の相本義親課長は「心強い。ぜひ、勧告されるよう願っている」。吉富町の中家一町長は「勧告がなされれば真摯(しん・し)に受け止め、合併協設置を議会に提案する。合併協議は前向きにやりたい」と話した。

 05年11月、豊前市が吉富町に合併協議を申し入れたのをきっかけに、06年1月に勉強会が発足した。9月までに4回開かれたが、町側が慎重な姿勢を示して合併協設置に至らないまま、事実上、休会していた。

 この間、将来の行財政運営に危機感を募らせる市側は、県幹部に勧告を何度も要請したという。両議会の決議で「市町の温度差はなくなった」(関係者)として、勧告受け入れの環境は整ったとの見方が出ている。

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