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2007年02月23日(金) 23時10分

ヘリ不正輸出、中国人経営会社からヤマハ発動機の名刺読売新聞

 ヤマハ発動機(静岡県磐田市)の産業用無人ヘリコプターを巡る不正輸出事件で、外為法違反(無許可輸出未遂)容疑で逮捕された幹部ら3人のうち、スカイ事業部主査板垣孝文容疑者(57)(同市)の名刺が、捜査の端緒となった中国人が経営する東京都内の商事会社から見つかっていたことが23日、静岡、福岡両県警の合同捜査本部の調べでわかった。

 捜査本部は、板垣容疑者が、輸出管理の実務者として中心的役割を担っていたとみて、中国側との接触の経緯などについて調べている。

 板垣容疑者のほかに逮捕されたのは、スカイ事業部長の内山一雄容疑者(58)(同県浜松市)と、同部主査の鈴木昭彦容疑者(49)(同県袋井市)。内山容疑者は無人ヘリの総責任者で、鈴木容疑者はヘリ開発の実務担当だった。3容疑者は「規制対象には当たらず、許可は必要ないと思っていた」と容疑を否認しているという。

 板垣容疑者の名刺が見つかったのは、福岡県警が中国人の不法就労事件で2005年4月に捜索した中国人の男女2人が経営する東京都江戸川区の商事会社。

 捜索の際に、中国・北京市の航空写真撮影会社「北京必威易創基科技有限公司(BVE)」に、無人ヘリの輸出を仲介したことを示す資料が押収され、今回の不正輸出事件の端緒になった。中国人は「中国の公的機関から派遣された」と供述していた。

 板垣容疑者は「市場開拓グループ」の肩書で輸出業務を担当。中国側から「技術指導してほしい」と持ちかけられ、現地指導のため、複数回渡航していたという。

 ヤマハ発動機側は、逮捕容疑になった無人ヘリと同型ヘリを9機BVEに輸出したとしている。一方、捜査本部では、通関書類などから同社が計11機を輸出し、うち1機は、別の自律航行型ヘリで中国人民解放軍系の中国企業に渡ったとみている。捜査本部は、中国への無人ヘリ輸出には、販路拡大や業績向上の狙いがあったとみている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070223i214.htm