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2007年02月23日(金) 00時00分

ラジオは脳にきく “ながら”で活性化 東京新聞

 ラジオを聴くと脳が活性化する−という説を知っていますか? 和歌山県立医大(和歌山市)脳神経外科の板倉徹教授(61)が唱えていて、TBSラジオはこの理論をPRするキャンペーンを展開中。同教授は昨年十一月に「ラジオは脳にきく」(東洋経済新報社、1470円)を著し、先日はNHKの「ラジオ深夜便」に出演するなど、ラジオと脳の関係が注目されつつある。同大付属病院長でもある板倉教授を訪ねてみた。

  (井上幸一)

 「ラジオは音声だけのメディア。情報が少ない分、リスナーは得られない部分を補おうとイメージを膨らませる。そこで、脳の広い範囲を使うことにつながるんですね」。板倉教授は穏やかに話し始めた。

 いわく、ラジオから発せられる音の情報は、直接的には耳の奥の位置にある大脳の側頭葉という部分で処理されるだけ。だがその後、例えば「松坂投手のフロリダキャンプ」のニュースなら、南国の景色の映像を思い浮かべるのに後頭葉、オレンジのにおいの想像は前頭葉から側頭葉にかけてと、脳全体が刺激されるというのだ。

 その際、脳の中にある記憶の“引き出し”を開閉する作業が、同時に行われる。この作業は、蓄積されている記憶を強固なものにするのに一役買うという。

 一方、キレる、コミュニケーション不足など、子どもをめぐる問題で、最近、学会で注目されているのが、意欲や思考、推論などをつかさどるとされる前頭前野。おでこのところにある、大脳の一番前方の部分だ。

 板倉教授によると、ラジオの音を基に、脳の各所でイメージされた情報をまとまったものに構成するのには、この前頭前野の働きが不可欠。つまり、「ラジオは、『やる気の脳』『他人を思いやる脳』とされ、人間が人間たるために必要な脳(前頭前野)を鍛えるのにも最適」ということになる。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20070223/mng_____hog_____000.shtml