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2007年02月23日(金) 00時00分

成田空港、貨物ビル再配置へ朝日新聞

 成田空港の貨物ビルの再配置に向けた取り組みが動き出した。旅客ビルは航空会社の連合(アライアンス)ごとに再配置が進められているが、貨物ビルは取扱量の増加に伴って増設されてきたため、各社の利用施設が散在。使い勝手の悪さが指摘されてきた。成田国際空港会社(NAA)は08年秋に予定している「第7貨物ビル(仮称)」の完成に合わせた再配置を目指し、関係会社と調整を進めている。

 成田空港の貨物施設は現在、空港中央部の貨物ターミナル地区のほか天浪(てん・なみ)地区、整備地区、南部貨物地区に分散している=地図。上屋(荷扱い施設)部分の総面積は約20万2千平方メートル。06年の年間取扱量は約224万トンで、輸出入ともに半導体などの電子部品や映像機器などを中心にした機械類が多い。

 日本航空(JAL)は、他の航空会社からの受託を含めると、全地区のビルを、輸出入別、方面別に使い分けている。全日空(ANA)は貨物ターミナル地区の一部をJALなどと共用し、天浪地区も使用。このほか、日本貨物航空(NCA)が貨物ターミナル地区、整備地区、南部貨物地区を使っている。

 ANAは、特に旅客便を使った貨物事業が中心で、第2旅客ターミナルに近い貨物ターミナル地区の「第5貨物ビル」で輸出貨物を扱っている。だが同社の旅客機は、第1旅客ターミナル南ウイングのオープン(06年6月)に伴って、同ターミナルに移転。これによって、貨物の搬送距離、搬送時間とも3倍になったという。また、上屋面積が最大の貨物ターミナル「第4貨物ビル」では、2階部分で中央のJALをはさみ、ANAが東西に分断された形になっている。

 貨物ビルの散在で、構内を行き交うトラックやフォークリフトの動線も複雑に。NAAによると05年度の交通事故は74件(うち人身事故は7件)、06年度も1月末までに67件(同13件)。06年8月には死亡事故もあった。
 08年完成予定の「第7貨物ビル」は天浪地区の東側に建設される。上屋面積は約1万平方メートルで、現在4棟ある同地区貨物ビルの合計の約2倍。この4棟は取り壊して駐機場にする。

 再配置計画では、「第5貨物ビル」と天浪地区のANAの使用スペースを「第7貨物ビル」に集約。「第5貨物ビル」の空いた場所は、同ビルを共有するJALが使用。「第4貨物ビル」2階の配置も、09年度中に整理する予定だ。

 成田空港は、02年4月に平行滑走路ができ、取扱量が大幅に増えた。需要に応えるため、貨物ビルも順次増やされたが、「希望の航空会社には新しいビルに入ってもらったり、別の会社が抜けたところに入ってもらったり。配置まで考える余裕はなかった」(NAA貨物事業部の新堀義人部長)という。

 だが、JAL・ANAとも、中国・アジアへの貨物便を拡充する計画で、「第7貨物ビルが完成しても、成田の貨物施設は依然として手狭だ」としている。
 ただ、羽田空港の新滑走路が09年に完成予定で、国際貨物の羽田シフトも懸念される。新堀部長は「当面は航空会社の動向をみながら、再配置などによって使い勝手をよくしていきたい」と話している。

http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000702230003