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2007年02月23日(金) 05時53分

皇太子さま会見全文(1)朝日新聞

 【質問(1)】この一年は皇太子さまにとってどのような一年でしたでしょうか。皇室では昨年、秋篠宮家に悠仁さま誕生という大きな慶事がありました。ご一家で悠仁さま誕生をどのように喜ばれたのか。天皇、皇后両陛下や秋篠宮ご夫妻とどのようなやりとりがあったか、率直なお気持ちをお聞かせください。41年ぶりという皇位継承資格を持つ親王の誕生を受けて将来の皇位継承についてどのようにお考えか。また、愛子さまのごきょうだいについてのお考えもあわせてお尋ねします。

 〈回答〉この一年を振り返ってみますと、国の内外で様々な出来事がありました。昨年は豪雪その他の自然災害や事故により多くの被害が出ました。今年は雪が少なく暖冬ですけれども、地球温暖化の影響が懸念されます。最近聞いて驚いたことなのですけれども、2040年までには、北極の氷がほぼ溶けてしまうという説も出ているようです。地球規模で起こりつつある温暖化にどう対処していくかが大きな問題だと思います。

 この一年は特に子供たちをめぐるいじめや自殺、虐待などの悲しい事件が多く、子供たちがこのような事件に巻き込まれてしまうことに心が痛みます。子供たちが安全で健やかに成長できる社会を作ることは、大人の責務であると思います。 国際社会ではイラク情勢や中東和平の問題、北朝鮮をめぐる問題など、多くの問題が山積していると思います。いずれの問題も解決に向けて進展が図られることを願っております。

 明るい話題としては、トリノオリンピックでの荒川選手の活躍や、WBCでの日本チームの優勝などがあげられます。昨年9月の悠仁親王の誕生を心から喜ばしく思います。御所で、また秋篠宮邸で、そしてまた、この赤坂御用地を弟夫妻が散歩で連れている折などに会うことがありますけれども健やかに成長しているようでうれしく思っております。

 愛子の幼稚園の入園は私たちにとって大きなことでした。お陰様で元気に通園しており、幼稚園生活を楽しんでいる様子です。幼稚園の先生方、そしてお友だちの皆さんや、ご家族の皆さんにもとてもよくしていただいており、ありがたいことと思います。愛子には今後ともお友だちとの様々な交流をとおして、多くのことを学んでいって欲しいと思います。

 昨年11月には着袴(ちゃっこ)の儀を無事に終えることができ、ほっとしております。

 雅子にはオランダでの静養などもあり、徐々にではありますけれども1年前に比べますとより快方に向かっていると思います。

 わたくし自身としては皇太子として行うべき活動に積極的に取り組んでまいりました。そのなかでこの1年を振り返って特に印象に残っているものを一つあげるとしますと、メキシコで行われた第4回世界水フォーラムへの出席です。地球温暖化を含めて、地球規模での環境問題は世界的な関心事となっており、そのなかで、水の問題は重要です。これについては国連では、「生命のための水十年」決議や、水と衛生に関する諮問委員会の設立などの世界的な組織に加えて、アフリカではアフリカ水閣僚会議が活動を強め、またアジア太平洋地域では、アジア・太平洋水フォーラムが発足するなど、世界の各地で熱心な活動が展開されています。アジア地域は特に水問題の深刻な地域であり、本年12月には大分県で第1回アジア・太平洋水サミットが開催されます。わたくしもご招待を頂いており、このサミットに出席して少しでも会議の成功に貢献できればと思っています。

 皇位継承の問題についてはわたくしの立場上、コメントは差し控えたいと思います。また、愛子のきょうだいについても発言は控えさせて頂きます。

http://www.asahi.com/national/update/0223/TKY200702230012.html