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2007年02月23日(金) 11時15分

長良川バラバラ殺人事件、被告に死刑判決 岐阜地裁朝日新聞

 交際相手の女性2人を殺害し、それぞれの遺体をバラバラに切断して捨てたとして、殺人と死体損壊、同遺棄の罪に問われた三重県桑名市下深谷部、無職兼岩幸男被告(49)の判決公判が23日、岐阜地裁であり、土屋哲夫裁判長は求刑通り死刑を言い渡した。「自己保身のための短絡的で身勝手な犯行」と認定。「被告人に有利な情状を考慮しても刑事責任は極めて重大で極刑をもって臨むほかない」と述べた。弁護側は控訴する見通し。

 判決によると、兼岩被告は99年8月15日に愛知県蟹江町本町11丁目のパート従業員渡辺愛子さん(当時43)、03年5月25日には同県一宮市赤見の会社役員村井栄子さん(同49)をそれぞれの自宅アパートで絞殺。いずれも遺体をバラバラに切断し、当時の岐阜県柳津町(現岐阜市)の境川などに捨てた。

 事件は03年6月に村井さんの遺体の一部が境川下流にあたる岐阜県羽島市の長良川で見つかり発覚。渡辺さんの死体損壊、同遺棄については公訴時効が成立し、起訴されなかった。

 公判では、渡辺さん殺害の有無や犯行の計画性が争点になった。兼岩被告は、当初認めていた渡辺さん殺害を公判途中で「自殺だった」と一転して否認。弁護側は「殺害したのは村井さんだけ。口論の末の衝動的な犯行で有期刑が相当」と主張していた。

 土屋裁判長は判決で「本人のみが知り得る具体性と迫真性があり、疑いを差し挟む余地はない」と指摘。兼岩被告による渡辺さん殺害を認定した。また、村井さんの殺害については「確定的殺意に基づいた冷酷かつ残酷な犯行」として、弁護側の主張を退けた。

 岐阜地裁で死刑判決が言い渡されたのは、岐阜県坂祝(さかほぎ)町で交際していた女性の家族3人を94年6月に殺害し、殺人などの罪に問われた浜田美輝死刑囚(98年6月に確定、02年9月に執行)以来となった。

http://www.asahi.com/national/update/0223/NGY200702230003.html