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2007年02月22日(木) 00時00分

日銀追加利上げ…1人だけの反乱、岩田の評判ZAKZAK

 「岩田さんが利上げに反対したと聞いて、偉い、というのが率直な感想。ここ一番で持論を貫いたんだなと」とあるエコノミストは語る。

 岩田氏は東大教養学部卒で1970年に経済企画庁(現・内閣府)入庁、同庁経済研究所でいわゆる官庁エコノミストを務めた。

 86年に東大助教授に転じ、91年から教授に。東大時代の教え子は「まじめな学生にはきっちり指導し、不真面目な学生にも試験に出そうなところを教えてくれた」と語る。

 2001年から東大教授と内閣府政策統括官を兼任し、景気判断など政府の経済政策作りに携わる。そして03年3月、福井俊彦氏の総裁就任と同時に副総裁の座に就いた。そこでは内閣府の“ボス”だった竹中平蔵前経済財政担当相の意向が働いたといわれる。

 「小泉純一郎前首相は当時、総裁に民間人の起用にこだわっていたが、日銀が推す福井氏起用で押し切られた。そこで竹中氏が推薦したのが岩田氏」と関係者。

 岩田氏は、金融緩和によるデフレ克服に積極的な立場で、物価上昇率を事前に設定するインフレ目標にも理解があり、竹中氏や自民党の中川秀直幹事長に近いとされる。

 「大学と役所を行ったり来たりしている人なので、あまり持論を押し出す人ではなかった。副総裁就任後は組織的要請もあってか、おとなしく日銀寄りの発言をすることもあったようだ」(前出のエコノミスト)というが、今年1月の決定会合では利上げ見送りを強硬に主張、今月21日の決定会合でも、物価や個人消費が伸び悩み、デフレに逆戻りする恐れを訴えて他の委員と対立、福井総裁も説得できないまま採決せざるを得なかった。

 気になるのが今後の動きだ。「福井総裁の任期は来年3月までで、後継には財務省出身の武藤敏郎副総裁が有力視されている。しかし、再びデフレに逆戻りするようなことがあれば、政府・与党サイドが岩田氏を次期総裁候補に推してくることも考えられる」(日銀ウォッチャー)。身内の反乱で、福井総裁の立場は一段と厳しくなってきた。

ZAKZAK 2007/02/22

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_02/t2007022225.html