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2007年02月22日(木) 00時00分

混迷首都決戦…慎太郎衝撃、身内・黒川紀章氏出馬へZAKZAK

 東京都知事選(3月22日告示、4月8日投開票)に突如、無所属での出馬表明を行った世界的建築家の黒川紀章氏(72)=写真左。3選をめざす石原慎太郎都知事(74)=同右=にとって、“身内”からノーを突き付けられた格好だけに大きな痛手となりそうだが、果たしてどんな波紋を引き起こすのか。

 21日、黒川氏は自身のHPで「石原知事が立候補を辞退しない場合には、都知事選に立候補する」と発表。「1期のみ」「無給」「官舎、公用車は使用しない」「側近政治は行わない」「東京五輪中止」など15の公約を掲げた。

 黒川氏は国立新美術館(東京)やヴァン・ゴッホ美術館(オランダ)などの設計を行うなど、国内外で認められる建築家。都庁の新旧庁舎を設計した建築家・丹下健三氏の弟子にあたる。石原氏が1975年に初めて都知事選に立候補した際には、自分の設計事務所を石原氏の選挙事務所として貸したほか、過去2回の都知事選でも石原氏を支持している。それだけに、今回の出馬表明は石原氏にとっては、身内からの反乱とも言える状況なのだ。

 その黒川氏は「石原さんとは現在でも最も近い友人のひとり。人間関係が変わったから出馬するわけではないし、これからも変わらない」と説明、出馬の理由についてもこう語っているという。

 「石原都政のよかった点はすべて継承するが、悪い点がある。最近は僕の意見にも耳を貸さない。いい終わり方をしてほしい」

 まさに、石原氏に“引導”を渡すための出馬表明というわけなのだ。

 こうした中、候補者選びが難航している民主党では、黒川氏に対する評価は分かれるところ。黒川氏は「どの党からも推薦されれば受ける」としており、民主党の中には「五輪中止を掲げており、石原氏との対立軸になりうる。黒川氏に乗って、推薦するのもいい」(若手)という声が出ているが、その一方では「黒川氏では知名度不足で勝てない。民主党が候補者を立てた際に反石原票が割れることもあるのでは」(都連関係者)と懸念する声も。

 ただ、永田町有力筋は「黒川氏の狙いはあくまで石原降ろし。民主党が『勝てる候補』を出せるなら、反石原票が割れるのを防ぐため、政策協定などを結んで出馬を見送ることもあるのではないか」と解説する。

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は21日夜、「都連の対応を見なければ、幹事長として具体的なことを申し上げる段階ではない」と述べるにとどめており、今後の動きは流動的だ。 

ZAKZAK 2007/02/22

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_02/t2007022210.html