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2007年02月22日(木) 04時39分

松下製湯沸かし器で48人CO中毒死、20年で27件読売新聞

 松下電器産業(大阪府門真市)が製造した小型ガス湯沸かし器で1986年以降、一酸化炭素(CO)中毒による死亡事故が27件発生、48人が死亡していたことがわかった。

 小型湯沸かし器によるCO中毒の危険性は、リンナイ(名古屋市)製品での一連の事故発覚でクローズアップされたが、松下の事故は、件数、死者数ともリンナイの約5倍に上っている。日本ガス石油機器工業会が今月19日に加盟各社の事故データを開示するまで、松下はこれらの事故を公表しておらず、重大事故を「使い方に問題があった」として片づけてきたガス機器業界の対応の甘さが、改めて露呈した形だ。

 27件の死亡事故が起きていた松下製湯沸かし器は、室内で空気を取り入れ室内に排気する開放式と呼ばれるタイプ。いずれも不完全燃焼防止装置は付いておらず、「GW—525」「GW—5D」など少なくとも9機種が確認されている。

 年代別では、86〜89年に17件の事故が起き、計30人が死亡。その後は、90〜99年が8件(死者16人)、2000年以降が2件(同2人)となっている。89年2月には5件の事故が集中的に起き、92年3月には一度に4人が死亡する事故もあった。一番新しい事故は06年3月の発生だった。

 同様に86年以降に起きた小型湯沸かし器での死亡事故件数と死者数を、他の大手ガス機器メーカーでみると、リンナイ5件10人、パロマ工業7件9人などとなっており、松下の数字はこれらを大幅に上回る。同工業会が開示した事故データによると、27件の大半は「換気扇を回していなかった」など使用者側の誤使用に原因があったとされている。

 松下は、いずれの死亡事故も公表していなかったほか、個々の使用者に注意を呼びかけるなどの対応も取っていなかった。

 松下は05年4月、CO中毒事故が相次いだFF(強制給排気)式石油温風機に関し、「製品に問題があった」として、大規模なリコール(無料修理・回収)を行った経緯がある。湯沸かし器ではこうした措置を取らなかった理由について、同社は「製品に起因するものではないので必要ないと判断した」(広報グループ)と説明している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070222i103.htm