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2007年02月22日(木) 00時44分

専務、バス3台掛け持ち運転 人不足補う 吹田バス事故朝日新聞

 大阪府吹田市でスキー客ら27人が死傷したバス事故で、「あずみ野観光バス」(長野県松川村)が事故前日の17日、事故車両を含むバス4台を長野から大阪方面に出した後、同社社長の妻の専務(44)が途中で乗降しながら、バス3台の運転を掛け持ちしていた疑いがあることが大阪府警などの調べで分かった。バス4台に交代要員を含め通常計8人の運転手を配置するが、同社は6人しか置かずに専務が3人分の役割をこなして人員をやりくりしていたとみられる。府警などは無理な運行管理をしていたとみて道路運送法(輸送の安全等)違反の疑いで調べを進めている。

バス運行状況

 調べなどによると、あずみ野観光バスは大阪市内の旅行会社2社と契約。17日夕、長野県・白馬地域から両社のツアー客を乗せ、バス計4台を大阪方面に出発させた。

 同社は運転手を6人しかそろえず、運転手2人が乗ったバスは1台だった。事故車両を含む他の3台は運転手が1人しかおらず、専務が高速道のパーキングエリア(PA)などでバスを乗り換えて、運転を交代していたとみられる。

 事故車両は、17日午後6時半ごろ、長野県小谷(おたり)村を出発した際、小池勇輝運転手(21)が運転していた。県内のスキー場など6カ所を回った後、名神高速道路の尾張一宮PA(愛知県)で専務が事故車両に乗り込み運転して、草津PA(滋賀県)で小池運転手と運転を代わったという。専務は同PAで別のバスに乗り移ったという。

 事故車両は長野、愛知、滋賀県内のPAなどで停車し、それぞれ20〜40分間、休憩していたという。

 道路運送法に基づく規則は、深夜の長距離運転で過労が予想される際は、運転手の交代要員の配置を定めている。長距離のツアーバスは、深夜帯に長野—大阪など長距離を走らせる際は、1台に運転手2人を乗務させるのが旅行業界の通例とされてきた。

 大阪市内の旅行会社は、同社との契約で「バス1台に乗務員は2人」を条件としていた。順守していなかったとして事故後に抗議したところ、同社の担当者は「運転手に限らず、車掌も含めて乗務員2人の意味だととらえていた」などと釈明したという。同社は、事故車両に社長の死亡した三男(16)を乗車させ、別のバスには次男(20)を乗せていた。2人とも大型二種免許を持っておらず、「車掌」としてバスの誘導や荷物の運搬を担当していたという。旅行会社は「運転手が2人乗っていると認識していた」としている。

http://www.asahi.com/national/update/0222/OSK200702210081.html