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2007年02月22日(木) 10時00分

エアコンいらず「外断熱の家」ってどうなの?日刊ゲンダイ

 従来の家は室内の壁の内側に断熱材を入れる「内断熱」が一般的だったが、近ごろは外壁の下にロックウールやグラスウールの断熱材を張り付けるなど「外断熱」の家が注目されている。分譲や賃貸の鉄筋コンクリート造りのマンションに増えており、木造一戸建てでも「外断熱」とうたう新築物件が目立ち始めている。「外断熱」の住まいのメリットとお値段は——。

●冬暖かく夏涼しい
「外断熱」の家はドイツやスウェーデンなど欧州が先発で、建て替えられた鉄筋コンクリート造りの集合住宅の多くはこれを取り入れている。NPO法人「外断熱推進会議」(理事長・竹川忠芳弁護士)事務局の太田昌宏氏はこう言う。
「『外断熱』は木造一戸建てよりもコンクリートの建物にこそ効果があります。断熱材で家をすっぽりと覆うことで、蓄熱性があるコンクリートは、室内側の温度に同調するからです。つまり冬の寒さ、夏の暑さをダイレクトに受けにくいので、室内を過ごしやすい状態に保つことが可能になります」

●窓は二重ガラス
 外壁や屋根の下に断熱材を張り付けるだけでなく、窓ガラスは二重ガラスを用い、窓のサッシも熱伝導率が低く外気の影響が少ない樹脂性を使用する。また2時間に1回の割合で自動的に室内外の空気を入れ替える熱交換型換気装置の設置が必要だ。この換気装置は冬場は吸い込んだ外気の空気を暖める一方で、室内の空気を冷まして排気。夏場は湿度が高い外気の湿度を下げて室内に取り込んで、室内の空気を排気する。

●「内断熱」と比べこんなに違う室温
「外断熱」の場合、冬場と夏場の室温はこんな具合になる。
「あるディベロッパーが“体感ルーム”で行った実験では、まず11月9日の夕方6時に23度の暖房を停止しました。停止したときの室温は25度、翌朝6時は23度とわずか2度しか下がらなかった。次に8月1日正午に20度の冷房を停止。こちらは夜9時の23度がピークで、夜中の0時は22度。同じ条件で通常の『内断熱』で実験を行ったら、冬場は13度まで下がり、夏場は30度まで上がりました」(太田氏)
 結露やハウスダストは発生しにくいし、真夏の深夜にコンクリートから生まれる輻射(ふくしや)熱は少なく、冷暖房の時間は短いので電気代の節約にもなる。
 外断熱工法を用いた墨田区の分譲マンション「リリーベル両国北斎通りサーモス」のある入居者は「家の中が快適で外に出たくない。ただし、換気装置のフィルター交換が面倒くさい」と同推進会議のHPに感想を寄せている。

●コストは2、3割高
 ネックもある。「内断熱」と比べてコストが2、3割高いこと。もちろん分譲価格にもそれが反映されている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070222-00000007-gen-ent