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2007年02月22日(木) 00時00分

暖冬の影響?光合成活発 東邦大など研究朝日新聞

 県内は21日、ポカポカ陽気で、千葉市では14・4度(平年9・8度)まで気温が上がった。そんな暖かい日が続いた今冬、常緑広葉樹の光合成が盛んだったことが、東邦大学理学部植物生態学研究室と山梨県環境科学研究所の共同研究で分かった。研究者らは、将来にわたり暖冬傾向が続けば、地域の植生に変化が出る可能性もあると研究結果に注目している。(小渕明洋)

 植物は、太陽の光をエネルギーに変換し、そのエネルギーを利用して大気中から取り込んだ二酸化炭素と水を使って養分となる炭水化物をつくっている。通常は、この光合成の働きを担う葉緑体が冬季には減少するため、光合成の働きも大幅に低下するという。

 植物生態学研究室の山崎淳也研究員や大学院生の鎌田暁子さんらは、シラカシ、スダジイ、タブノキ各1本ずつを対象に、11月から光合成測定装置を使って光合成量を調べてきた。葉の表面に装置を使って二酸化炭素を送り込み、その後回収した二酸化炭素の濃度を測定する方法だ。光合成が盛んなほど二酸化炭素は減少する。

 計測を始めた11月と今年1、2月(いずれも上旬)の測定結果を比較すると、光合成量の減少は3種とも3割前後にとどまった。同じ条件で測定した過去のデータがないため比較は難しいが、同研究室の丸田恵美子助教授は「異なった場所の測定で、冬季はシイやカシの光合成がかなり低下していた、という研究報告もある。今回の測定値はそれと比べても明らかに光合成が盛んなことを示しており、暖冬の影響だと見られる」と話す。

 同研究室は、今後も暖冬傾向が続けば、常緑広葉樹が徐々に標高の高い地域へ広がるなど、植生に影響が出てくる可能性があるとしている。

http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000702220004