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2007年02月22日(木) 00時00分

どぶろく王国、夢じゃない朝日新聞

 県内で初めて、国の構造改革による「どぶろく特区」に認定された美作市の「どぶろく」が、「手に入れるには1カ月待ち」といわれるほど好調な売れ行きをみせている。同市に続いて津山市も特区の認定を受けており、現在両市合わせて1人しかいない製造免許取得者が今秋までに計8人に増える見通しだ。生産量の大幅増ばかりか、アルコール度数や味がそれぞれ違った個性の競い合いが期待でき、両市が協力し合い、「美作地域をどぶろく王国に」という構想も持ち上がっている。(吉川幸男)

 県内でどぶろく製造免許を持っているのは美作市の湯郷温泉の一角でペンション経営をしている尾高成誠樹(のりみき)さん(33)。県工業技術センターでつくり方のイロハを習い、昨年10月に免許を取得。「どぶろく湯郷」の商品名で売り出した。

 尾高さんによると、1回の仕込みで500ミリリットル瓶70本分が10日ほどでできる。見通し以上の注文殺到に「予約をもらっても1カ月ほど待ってもらっています」。現在10アールの田んぼで作っている原料米の栽培面積を、今年は倍に増やせるよう変更申請も考えているという。

 市が特区申請にこめたのは「どぶろくで話題づくりをして湯郷温泉の宿泊客を増やしたい」との思惑だった。どぶろく自体が話題になったかたちだが、「うれしい誤算」と市建設企画課。

 注文に応じられる製造量の確保に向け、今月9日に「製造免許申請の仕方の説明会」を開いたところ、市内から5人、津山市から2人の計7人の参加があり、免許が得られれば今秋以降、生産にかかる見通しだという。

 昨年11月に特区に認定された津山市も「生産に見通しが立てば新しい津山の特産品に育てたい」(農業振興課)としている。将来的には美作、津山両市が手を組んでどぶろく観光PRや共通イベントなどに取り組み、美作地域を「どぶろく王国」に育てる構想も出始めている。

 どぶろく特区は現在、全国で69自治体が認定され、中国地方では5自治体あるという。

 「どぶろく湯郷」は500ミリリットル入りで1本千円。問い合わせは、フォーシーズン湯郷(0868・72・8822)へ。

http://mytown.asahi.com/okayama/news.php?k_id=34000000702220001