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2007年02月22日(木) 00時00分

尾崎豊が幻冬舎設立の原点だった!朝日新聞

 数多くのベストセラーを手掛けた編集者で、出版社の幻冬舎を設立10年で上場会社に育てた見城徹氏(56)が初めて自分の著書を出版する。見城氏のエッセーやインタビューを編集した「編集者という病い」(太田出版)で、22日に発売される。

 見城氏は角川書店時代につかこうへい氏「蒲田行進曲」など5作の直木賞を担当して同社の名物編集者として知られた。社長として93年に幻冬舎を設立後も編集者として石原慎太郎氏「弟」などミリオンセラーを手掛けた。

 出版界の風雲児への執筆依頼は数多くあったが、編集者に徹してきた。しかし、50代後半を迎え「人生の幕をどう下ろすか?」と自問するようになったという。太田出版社長で親友の高瀬幸途氏が、最後に手掛ける出版物として担当を買って出たこともあり、承諾した。

 編集者は、原稿管理だけでなく、作家にアドバイスを送る重要パートナーでもある。特に見城氏は作家やアーティストへの「食い込み」が深い。ロック歌手の故尾崎豊さんの作家としての才能を引き出したが、尾崎さんのために、資金とスタッフを集め個人事務所立ち上げに奔走した。サラリーマンの範ちゅうを逸脱した行為だったが、自分にだけ向き合わない限り心を許さないカリスマロッカーには、すべてをささげるしかなかった。

 尾崎さんの精神状態が不安定な時期だったこともあり、自殺を考えるほど、追いつめられた日々だった。それでも、のたうち回った日々が、大手出版社を離れ、後に幻冬舎を設立する原点になったことなどが記されている。

http://www.asahi.com/culture/news_culture/NIK200702220008.html