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2007年02月22日(木) 18時15分

脅威のアジアンゲーム:第6回 ゲームの思想と原点回帰毎日新聞 まんたんウェブ

 昨年末、ある大手アニメ会社の社長とゲーム「ドルアーガの塔」の話をした。

 このゲームの各フロアをどうやってクリアしていったのか、熱っぽく語ってくれたのが印象的で、「そうそう、その宝箱を出現させて……」と、思わず彼の話に何度もうなずいてしまった。

 彼は、高校生のとき「ドルアーガの塔」にはまってしまい、一気に数万円つぎ込んだそうだ。それが縁で「ドルアーガの塔」の作者・遠藤雅伸さんとゲームの仕事をしているという。

 遠藤さんは、自分でゲームを企画し、プログラムするというマルチクリエーターだった。名作「ゼビウス」もそうした作品だとずいぶん前に本人に聞いたことがある。

 遠藤さんに限らず8ビットゲームの時代は少人数でゲームが制作できたので、クリエーターの思想やし好がゲームから直接感じられたものだ。

 その後16ビット、32ビットとゲーム機が進化するとともに、次第にゲーム制作に人手がかかるようになった。今ではさらに人手がかかるようになり、ゲーム制作はファクトリー(工場)化し、クリエーターの顔が見えなくなってしまった。

 「シグナルトーク」というオンラインゲームの会社がある。「Maru-jan」というPCオンラインマージャンゲームの制作と運営サービスを行い、年々売り上げを伸ばしている。

 社長の栢(かや)孝文さんは、元セガのソニックチームで「チューチューロケット」のディレクターをしていたが、その後脱サラして会社を設立した。

 会社創業時期から彼のことは知っているが、「Maru-jan」に対する思い入れやこだわりは尋常ではない。だから「Maru-jan」からは彼の思想が伝わってくる。 

 今は「ニンテンドーDS」がブームだが、8ビットゲームの時代のようなシンプルでアイデアを競うようなタイトルが多く、栢さんが作っているオンラインゲームと同じようにクリエーターの思想が伝わってくるものがある。

 ニンテンドーDSとPCのオンラインゲームを見る限りでは、ゲームは原点へ回帰しているのかもしれない。

著者プロフィル

川口洋司:54年生まれ。86年にソフトバンク出版事業部にて日本初のコンピューターゲーム雑誌「Beep」の編集長を務め、さまざまなゲーム専門誌の編集長を歴任。「コラボ」を設立し、オンラインゲームビジネスのコンサルティング、プロデュースを行っている。04年から「デジタルコンテンツ白書」の編集委員。著書は「ソニーのコンテンツ戦略」(日本能率協会)など。

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