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2007年02月21日(水) 08時05分

「横やりで入札ゆがむ」松島前町長初公判朝日新聞

 松島町発注の工事をめぐり、競売入札妨害と収賄の罪に問われた前町長内田鉄夫被告(58)の初公判が20日、仙台地裁(斉藤啓昭裁判官)であり、内田前町長は「間違いありません」と起訴事実を認めた。贈賄罪などに問われた建設会社「熱海工務店」前社長の熱海晴義被告(72)と、前副社長の熱海義一被告(46)もそれぞれ起訴事実を認めた。検察側は、公正であるべき公共工事の入札が「町長の横やり」によってゆがめられていた構図を示した。
 グレーの背広姿で現れた内田前町長は、深々と頭を下げて入廷した。裁判官に職業を尋ねられると「会社役員です」。「事件のときは松島町長でしたか」と続けて聞かれると、「はい」と力なく答えた。
 検察側の冒頭陳述などによると、92年ごろ飲食店で出会ったことから始まった内田前町長と晴義被告の付き合いは選挙支援を通じて深まり、前町長が経営する会社の運転資金などとして計1800万円を借りるなど親密な間柄になっていった。
 04年6月、前町長は義一被告の求めに応じ、町発注の松島中学校の耐震補強工事の「公募型指名競争入札」に参加を申し込んだ他の8業者の名前を電話で教えた。義一被告から「この業者が入ると取れなくなる」と頼まれると、担当の町職員に入札業者の選定の再検討を指示。この業者を外すことが決まった。
 さらに、「9千万円で入れたらいいんじゃないか」と予定価格(9400万円)に近い価格を義一被告に教えた。こうした便宜の見返りに、同社の落札後の同年9月、義一被告から100万円を町役場の応接室で受け取った、とされる。
 業者の選定がやり直された経緯について、検察官は「町長の横やりが入ったと思った」「(契約事務審査委員会の)実態は町長の意向に沿った形骸化(けい・がい・か)したものだった」との同町職員の供述調書を読み上げた。
 次回3月6日の公判で被告人質問などが行われて結審し、同月13日に判決が言い渡される予定。

http://mytown.asahi.com/miyagi/news.php?k_id=04000000702210005