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2007年02月21日(水) 00時00分

スノボ置き去り長男焼死「食べ物あれば大丈夫だと…」ZAKZAK

夫とは離婚状態、出会い系で男性と17時間

 母親がスノーボードに行った留守中に自宅から出火し、長男が焼死するといういたましい事件が起きた。日頃は熱心に子育てに努めていたという母親。一瞬の魔が最愛の我が子を奪った。

 母親(24)は昨年12月30日、2歳の長男を自宅アパートに放置したとして19日、保護責任者遺棄の疑いで埼玉県警朝霞署から書類送検された。

 母親は同日午前5時ごろから午後10時20分ごろまでの約17時間、出会い系サイトで知り合った年下の20代男性と群馬県川場村のスキー場に出掛けた。

 埼玉県和光市の自宅アパートには食料を置き、施錠していたが、長男はひとりぼっちに。その間、電源の入ったこたつと電気カーペットから出火したとみられ、長男は床が抜けるほどの猛火に包まれて死亡した。

 自宅は東武東上線成増駅から徒歩22分、家賃約6万円の2Kのアパート。火災の様子について隣に住む主婦(72)は「もの凄い煙だった。今はずいぶん収まったが、火事の後もしばらく匂いが残っていた」と証言する。現場アパートには花が生けられ、捨てられた段ボールの中には、鈴虫寺(京都市西京区)の幸福のお守りが残されていた。

 悲劇に見舞われた母子はどんな生活を送っていたのか。母子は2人暮らし。会社員の父親(24)とは別居中で、事実上の離婚状態だったという。母親は約1キロ離れた東武東上線成増駅前の居酒屋に毎日自転車で通い、「調理係として休みもほとんどなく働いていたようだ」(捜査幹部)。

 前述の主婦が「子供さんと出掛けるのを見かけた」と語るように、捜査幹部も「休日は親子で過ごすことが多く、子育てはしっかりやっていたようだ」と話す。

 事件当日のスノーボード旅行は居酒屋での深夜勤務後、日帰りでの強行軍。毎日の子育ての中での息抜きのつもりだったようだが、「しっかりした子だから食べ物さえ置いておけば大丈夫だと思った」という慢心が悲劇を招く。

 母親の実家は東武東上線川越市駅から車で30分にある集落の一角。母親を昔から知るという近所の住民(55)は「シャキシャキした子。活発すぎて危なっかしい時もあったが、良い子。時々、車で子供と実家に帰って来ていた」と語る。

 実家に戻った母親に会うため実家を訪ねると、玄関から出てきた親族は「娘はここにはいない。ほかの所に行っている」と憔悴(しょうすい)した表情で語った。捜査関係者は「反対されながらの結婚で、実家に頼りにくい事情があったようだ。もう少し方法があったと思うのだが…」と語る。

 母親は調べに、「悔やんでも悔やみきれない」と反省しているという。ただ、その後悔を償うべき我が子はもういない。

ZAKZAK 2007/02/21

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_02/t2007022103.html