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2007年02月21日(水) 00時00分

SNSで業績が急伸読売新聞

 シニア向けの雑誌にも取り上げられるほど有名になったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)。一般向けサービスのミクシィは、その代表格だが、業務用のSNSシステムの提供で業績を伸すビートコミュニケーションの村井亮社長にビジネス戦略を聞いた。

SNSもいろいろ

村井 亮  むらい・りょう
株式会社ビートコミュニケーション社長
兵庫県芦屋市出身。慶応義塾大学環境情報学部卒業。94年三井信託銀行入社、2000年中央三井信託銀行外国証券決済室。2004年1月にビートコミュニケーションを設立。多くの大手企業にSNSを導入し、運営コンサルティングを行っている。「社内SNS」「内定者囲い込みSNS」「OBやOGのためのSNS」など、新しいSNSのあり方を提案してきた。
—— 話題のSNSをやさしく説明してください。

村井 友人のつながりを分かりやすく表示し、コミュニケーションができるように作られたサービスです。自分の友人たちは写真付きで一覧表示できますし、ある友人の友人たちも見られます。日記を友人に読ませるのか、友人の友人にまで読ませるのかといったコントロールもできます。

—— 基本はとても単純なのですね。

村井 はい。基本を拡張すると、いくつかのタイプに発展します。基本的な機能だけでできているのが「パーソナル系」、ビジネスにまで応用した「ビジネス系」、動画やゲームなどを取り込んだ「コンテンツ系」、検索との関連を強めた「ソーシャルブックマーク系」の4つに分けられます。

—— SNSの代表格であるミクシィはどこに入りますか。

村井 パーソナル系です。パーソナル系の特徴は、苦しみや悩み、不平不満を訴える日記がコミュニケーションの中心になることです。そんな実態を「さみしさ再生産」と呼んだりします。

—— ビジネス系とはどのようなものでしょう。

村井 社内SNSと人材マッチング系があります。社内SNSは社内コミュニケーションに重点を置くタイプと、内定者や退職者の囲い込みを目的とするタイプがあります。私たちの会社は、社内SNSを中心としたソフトウエアを開発し、販売しています。

—— 人材マッチング系とは。

村井 求人者と求職者を会員に、両者を結びつけることを目的としています。米国では求職者を有料の会員制にし、成功しているサイトもあります。私たちが最初に手がけたのもこのタイプです。会社設立を目指していた03年末、起業家と投資家を結びつけるSNSを開発し、慶応大学のベンチャー支援グループに使っていただきました。日本初のSNSという評価もいただいています。

—— 04年3月に始まったミクシィより早かったのですね。

村井 はい。でも私たちは一般ユーザー向けにサービスを提供する方向は選ばず、SNSが必要な企業にシステムを別々に売っていこうと考えました。SNSで収益を上げるには、会員を10万人以上集めて有料にするほかないと考えたからです。10万人を集めるまでは収入がなく、ベンチャー企業には難しいと判断しました。

—— SNSに広告を掲載して運営するのは難しいのでしょうか。

村井 ミクシィに対しては、その広告売り上げに注目が集まっていますが、私たちはミクシィの就職情報サイトの収益が向上した点に着目しています。メディアを多角的に経営しているルパート・マードック氏が世界最大手のSNS「マイスペース」を取得したことによる最大の成果は、制作した映画のプロモーションに使い、大成功した点です。SNSで収益を上げようとするなら、本業を活性化するために使うのが一番よいと考えています。

—— コンテンツ系やソーシャルブックマーク系は。

村井 コンテンツ系は動画や音楽、ゲームを共有できる機能を持つタイプ。ソーシャルブックマーク系は、ブックマークを共有したり検索ができたりといった機能があるものです。

http://www.yomiuri.co.jp/net/interview/20070221nt0c.htm