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2007年02月21日(水) 00時00分

<東京カフェ>食のジレンマ 東京新聞

 「毎日、どれだけの食べ物がごみになっていると思う。中には食べられる物もあるのに」。自社工場で作った食材の販売などを手掛ける友人が、こう切り出した。

 消費者の目は年々厳しくなり、廃棄しなければならない食材は増えるばかり。特に食の安全性にかかわる問題が取りざたされると、その度合いが高まるというのだ。

 製造者が安全管理を徹底するのは当然のこと。問題のある商品ははじかれ、販売後に回収することも。だが、理不尽な苦情でも安全性を優先し、廃棄せざるを得ない場合がある。そんなとき、子どものころに親に言われたことが脳裏をよぎるという。「食べ物を粗末にするな」

 食の安全を守ろうとする使命感と、本来は安全な食べ物を捨てることに対する罪悪感。そんな現場のジレンマを打ち明け、「どうにかできないものか」と言う友人に、解決策を示すことはできなかった。

 ただ、消費者の責任について、あまり意識することのなかった自分に気付かされた。食べ物を粗末にしないために普段からできることを、消費者の一人として心掛けたいと思う。 (服部展和)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tko/20070221/lcl_____tko_____004.shtml