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2007年02月21日(水) 00時00分

少子化対策目白押し 07年度予算案朝日新聞

 23区の新年度予算案が出そろった。景気回復による税収の伸びを背景に、一般会計予算額が対前年度を上回ったのは、昨年と同じ19区。三位一体改革により減収が見込まれる港、渋谷の「富裕区」も、財政調整交付金の特別交付金を見込むことで影響を最小限に抑えた。各区とも少子高齢化社会を反映した施策が目立っている。

 千代田区は、子育て支援と定住人口増を目指す助成を発表した。

 胎児も含む中学3年生以下の子どもがいる家庭を対象に、最長で8年間助成する。初年度は世帯の人数に1万円を乗じた額を支給し、2年目以降は1割ずつ減額する。区内に5年以上住む親がいる転入者は、親と同居しなくても対象となり、「親元枠」として初年度に2万円が加算される。いずれも子どもは高校3年生相当まで。

 品川区は「行政のおせっかい」による「親育ち」支援策を提示した。母子手帳を渡す際、地域の保育園を「かかりつけ保育園」に登録するよう勧め、先輩の親と交流する場を提供して安心して出産を迎えられるようにする。赤ちゃんが生まれると、生後4カ月以内に児童センター職員や民生児童委員と協力して全戸訪問し、子育て情報を提供、交流会への参加を促していく。港区も母子手帳交付者にかかりつけ保育園の登録を勧める。

 練馬区は、出産後4カ月以内の人や低体重児を出産した人らを対象に、家事援助者を派遣する。豊島区は、出産前後の女性や2歳未満の乳幼児との同居者にヘルパーを派遣。杉並区は、就学前児童がいる家庭に、ベビーシッターなどの有料サービスを利用できる「子育て応援券」を配布する。2歳児までは年6万円分、3〜5歳児は年3万円分。

 渋谷区は、15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計した出生率が0・70(05年度)と23区で最低。所得制限なしで20万円を上限に、年2回まで特定不妊治療費を助成する。所得制限の撤廃は品川区も。港区は上限を30万円に。

 渋谷区は妊娠1回で5万円の祝い金を新年度も継続する。大田区は、第3子以降を対象に1人当たり5万円の祝い金を渡す。

 墨田区は「子育て支援総合センター」を、京成曳舟駅前に完成する再開発ビル内に開設、一時保育や子育てボランティアへの支援を進める。子育て相談について、従来は保健所や教育委員会などの各窓口を紹介していたのを同センターで一元化する。また、NPOが行う病後児保育サービスを利用する区内保育園児への、1回当たり最高3万5千円の助成を続ける。

 足立区は、中学3年生までの子どものいる世帯や、妊婦のいる世帯に対し、区内64商店街の協賛店舗で、買い物するとき5%の割引サービスが受けられる「子育て支援パスポート」を発行する。対象は約5万世帯。

◆文京・渋谷は前年下回る額◆

 一般会計予算額が前年度を下回ったのは、文京、荒川、台東、渋谷の4区。対前年度比16%減の文京区は公園用地(122億円)、同2・4%減の荒川区は基金統廃合(40億円)と、前年度に予算額が膨らんだ特殊事情があったため。台東区は4・4%減。上野広小路の地下駐車場工事費が、前年度より約21億円減少したなどの理由だ。

 三位一体改革により港区は約100億円、渋谷区は同80億円の税収が減る見込みだが、基金の取り崩しや財政調整交付金の激変緩和措置などで対応している。港区は9・9%増、渋谷区は1・2%減。

http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000000702210001