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2007年02月21日(水) 00時00分

若者に中国史アピール 台北の故宮博物院改修朝日新聞

 台北の故宮博物院が全面的な改修を終え、このほど一般公開を始めた。リニューアルの合言葉は「OLD is NEW」。陳列方法では特に若者層にアピールする様々な仕掛けが施されている。

年代順に陳列される故宮博物院の館内

 65年開設の旧館内はよくいえば重厚ながら、やや薄暗い印象があった。改修後は照明に気が配られ、陳列品の細かな文様もはっきり見える。

 常設展の展示方法は従来の「分野別」から「年代順」に変わった。たとえば秦〜漢の時代には「古典から伝統へ」、清朝後期には「現代に向かう」といったキャッチフレーズがつけられ、その時代の文物がひとまとめに。館内を歩けば数千年の中国史の流れが頭に入ってくる形だ。

 タッチパネルで「青銅器の作り方」などを学べるコーナーも作られた。展示品が子供向けに低い位置で並べられる約800平方メートルの「子供館」がこの夏にオープンする。

 特別展は従来より頻繁に開催されることになり、忙しくなっているのが所蔵品修復を担当するスタッフ14人だ。

 代表の楊源泉さん(64)はこの道35年。今年後半に予定される「仏像展(仮称)」で展示される清朝時代の漆器を40度の薬用アルコールで丹念にふき、ほこりを落としていた。「故宮に新しい光が当たるのはいいこと。忙しくてもやりがいがあります」

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 〈故宮博物院〉 北京の紫禁城(故宮)で1925年、中国の歴代王朝が収蔵していた文物をもとに設立。日中戦争の前後、所蔵品は四川省や南京などを転々とし、国民党の内戦敗退とともに約2割にあたる主要な名品が台湾へ運ばれた。65年に台北で公開開始。現在の所蔵品数は約65万点とされる。北京の故宮博物院は台北に渡らなかった文物などを中心に運営され、現在約100万点を収蔵している。

http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200702210168.html