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2007年02月21日(水) 07時51分

原野商法被害者狙い詐欺、容疑の社長ら逮捕へ 警視庁朝日新聞

 かつて「必ず値上がりする」と言われて山林や原野を売りつけられた原野商法の被害者を狙い、「広告を出せば持っている土地は売れる」などと勧誘して金をだまし取ったとして、警視庁は21日にも東京都品川区の不動産会社社長(62)や社員数人を詐欺などの疑いで逮捕する。同社による原野商法の二次的被害者は全国で約550人、被害総額は2億円に上るとみられる。被害者の中には認知症の高齢者もいたという。

 同庁や東京都によると、この不動産会社の商法を巡っては、04〜06年に都内で計26件の相談が寄せられていた。相談者の平均年齢は71歳で、半分ほどが認知症の高齢者だったという。

 原野商法の被害者には、切り立ったがけなどほとんど開発不可能な土地を持っている人も少なくなく、売却できずに数十年にわたって固定資産税を払い続けている人も多いという。不動産会社は、こうした事情から所有者が早く転売したがっていることに着目。「広告を出せば必ず売れる」と勧誘し、その代金として数十万円を支払わせていたが、実際には広告を出していなかった疑いが持たれている。

 同社は全国で勧誘していたとみられ、関西、東海地方の被害者が多いという。朝日新聞の取材に対し、「分かる人がいないので答えられない」としている。

 原野商法は、「将来値上がりする」とうそをつき、価値がない山林などを購入させる詐欺の手口で、70年代に全国で被害が広がった。

 その後、90年前後から原野商法の被害者に「転売できるので測量しましょう」「広告を出せば売れる」と勧誘し、再度、金を出させる手口が登場。ここ数年増える傾向にあった。同様のやり方で複数の会社が詐欺行為をしているとみられ、関係者の間に出回っている原野商法被害者のリストが利用されたとみられる。

http://www.asahi.com/national/update/0220/TKY200702200514.html