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2007年02月20日(火) 00時00分

携帯サイトから “10代の歌”誕生 利用者から『夢』募り詞作成 東京新聞

 中高生を中心に人気の無料携帯着メロサイト「ゴルゴンゾーラ」とヤマハが、新レーベル「ゴルゴンゾーラ・レーベル」を立ち上げた。その第一号歌手としてデビューした外川(とがわ)陽子(21)が歌う「Together」は、十代中心のサイト利用者の“夢”を歌詞にした歌だ。今月十四日にCDを発売。平和を願い、前向きに生きようとする、真っすぐな気持ちが詰まっている。 (吉村智佳)

 十代を中心に会員百三十万人にのぼる無料携帯着メロ・着うたサイト「ゴルゴンゾーラ」は、二〇〇四年に開設。昨春、「『将来の夢』を教えて」とユーザー(通称・ゴンザー)から募集したところ、平和を願う思いが多数送られてきたという。

 同サイトを支援しているヤマハ・コンテンツ事業推進部の渡辺優樹さんは「夢、というよりも、シリアスな思いが多く、衝撃を受けた。凶悪な事件、いじめなどが報道される中で、若い世代の心の中には、われわれが想像していない世界が広がっていた。今の若い子たちは満たされていて、自分の夢を見いだせないということもあるようだ」と驚きを語る。

 これらの声を形にしようと、ゴルゴンゾーラとヤマハがタイアップして「ゴルゴンゾーラ・レーベル」が誕生。シンガー・ソングライターの川嶋あいが寄せられた言葉をつなげるなどして歌詞を作成、サウンドプロデューサーのIkomanさんが楽曲を手掛けた。

 歌手もサイトで募集した。男女約五千人の応募があり、運営側が絞り込んだ六人の候補者の顔写真や歌声を掲載し、ユーザーが投票した結果、外川が大差で選ばれた。「二十代の外川が選ばれたのは、お姉さん的存在に、自分たちの代表という思いを託したのでは」と渡辺さん。

 外川自身も、このサイトのユーザーだった。「歌手になりたい、という気持ちはあったけれど、具体的に活動をしていたわけではなかった」と、合格を驚く。

 「歌は好きだったけれど、はたから見ている感じでした。写メールと自己紹介メールを送るだけという、携帯の気軽さが良かった」と言い、「十代の子から出た言葉だけあって、飾りがなく、ストレートな歌詞です。心の中に、真っすぐに届き、どの部分をとっても共感できる歌詞だと思いました」とデビュー曲を語る。

    ◇

 同サイトは、スポンサーから届くメールを読むことで得るポイントを使って、曲や歌の一部をダウンロードできるシステム。一般的には月額数百円という課金システムを、企業広告で解消した。「Together」はCDの発売前、ダウンロード一回(40秒分)につき一円をポリオのワクチン代としてミャンマーにスポンサーが寄付している。すでにダウンロードは四十万件を超えた。

 「ささいなことでチャリティーができるって今までないこと。今後も、好きな音楽をダウンロードして社会に貢献できる機会が増えていくといいですね」と外川も期待を寄せる。

 「いきなりアーティストデビューというシンデレラストーリーで、夢を与えられたら、という思いもある」と渡辺さん。今後も男女を問わず、アーティストの発掘を視野に入れている。

 同曲は、特定非営利活動法人(NPO法人)「世界の子どもにワクチンを日本委員会」公式チャリティーソングにも選ばれている。CD(1200円)は売り上げのうち、一枚につき、はしかワクチン一人分(約100円)をミャンマーに寄付するという。

everyday,together

笑顔になるために

どんなときも 歩いていこう

太陽が昇っていく

僕らの頭の上に

同じもの、違うものを

抱えて現代(いま)を生きている

当たり前な幸せの

意味さえわからずに泣いてばかりで

見えない未来に希望も持てずに

臆病になってしまう…けれど

everyday,together

笑顔になるために

どんなときも 歩いていこう

everyone,together

涙なんかふいて

空を見上げて笑ってみよう

  (「Together」の歌詞の一部、冒頭から)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20070220/mng_____hog_____000.shtml