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2007年02月20日(火) 00時00分

福井の執念vs政府の圧力…利上げ攻防どうなる?ZAKZAK

 日銀は昨年7月にゼロ金利を解除し、金融機関同士が短期資金を融通し合う際の金利の誘導目標を0.25%に引き上げたが、その後、追加の利上げをできずにいる。「金利を調節する余地のある“のりしろ”として0.75%−1%まで上げておきたいのが日銀の悲願」(市場関係者)とされ、1月の前回会合でも一時は利上げ観測が高まったが、政府・与党からのプレッシャーもあり、結局見送られた。

 見送りの理由は「個人消費」と「消費者物価指数」の伸びが力強さを欠いていること。今回の会合では、1月会合後に発表された経済指標が新たな判断材料となる。

 今月15日に発表された昨年10−12月期の国内総生産(GDP)は前期比1.2%の高い伸びを記録。個人消費も1.1%増となったが、「悪い数字だった7−9月期の反動に過ぎない」(エコノミスト)との指摘も。所得は依然伸び悩み、日銀の金融政策決定で議決権を持つ政策委員の一部は消費の先行きを楽観していないもようだ。

 1月26日に発表された12月の全国消費者物価指数の伸び率は前年同月比0.1%に低下した。今後は原油価格下落の影響でマイナスに逆戻りする可能性も指摘される。

 成長重視戦略をとる政府は、日銀に利上げしてほしくない立場。大田弘子経済財政担当相は肝心の個人消費について「昨年7−9月期とならせば横ばいで、依然弱さが見られる」と慎重な見方を重ねて示した。日銀出身の塩崎恭久官房長官は「金融政策は日銀が決めることで、われわれがどうこう言う話ではない」としながらも、「中央銀行として、専門的知見に基づいて経済情勢を分析し、金融政策を決定してもらいたい」とプレッシャーをかけている。

 決定会合では、福井総裁ら9人の委員の多数決で金融政策を判断する。1月の会合では、現状維持派が日銀執行部(福井総裁と2人の副総裁)を含め6人、利上げ派が3人と票が割れた。

 しかし福井総裁は「ごくわずかな判断の差」と説明しており、議長役の福井総裁が利上げに傾けば金融政策変更の可能性が高まる。過去に票が5対4に割れたことや執行部の間で票が割れたことはないが、景気が微妙な局面だけに、難しい判断を迫られる。

 決定会合は原則として毎月開かれるが、4月に統一地方選、7月に参院選を控えるため、今回のタイミングを逃すと8月以降まで利上げできないとの観測もある。利上げは景気の腰折れを引き起こしかねず、選挙にも少なからず影響するとみられているからだ。

 利上げに執念を見せる福井総裁の任期は来年3月まで。どんな判断が下されるのか注目される。

ZAKZAK 2007/02/20

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_02/t2007022015.html