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2007年02月20日(火) 00時00分

アジアパーク訴訟 高裁市民側の控訴棄却朝日新聞

  経営が破綻(は・たん)し、解散した荒尾市の第三セクター「アジアパーク」への補助金と金融機関への損失補償の支出は違法として、市民34人が北野典爾・前市長を相手取り、市へ公金約6億6500万円の返還などを求めた訴訟の控訴審判決が19日、福岡高裁であった。牧弘二裁判長は「地域振興対策の役割を担い、公益性があった」として一審・熊本地裁判決を支持し、市民側の控訴を退けた。

  判決は、臨時市議会で市の債務負担が決まった97年9月時点の同パークの経営状態について「破産に近い状態だったが、市の支援を受ければ再建の可能性は全くなかったとは言えない」と判断。さらに「産業構造の転換を急務とする市にとって高度の公益性を有する事業だった」とした。そのうえで、控訴審が結審した06年8月までに市が支出した補助金約1億1600万円と損失補償約5億4900万円について「市議会の議決を得た支出で、誤りは認められない」と結論づけた。

  同パークは、三井三池炭鉱の閉山(97年)に備え、国や県、市などが総事業費約44億円をかけて93年に開園したが、集客が伸びず、00年8月に31億円の負債を抱えて解散。市は金融機関への損失補償を続け、残りは6300万円。完済は10月までかかるという。

  判決後、式島正光原告団長は「判決は市民を愚弄(ぐ・ろう)しており、怒りを感じる。上告を検討したい」と話した。一方、北野前市長は「主張が全面的に認められ評価できる」、前畑淳治市長は「良識ある妥当な判断がなされたと受け止めている」とコメントを発表した。

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