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2007年02月19日(月) 10時00分

バブル崩壊後の激動を描く意欲作日刊ゲンダイ

 17日から6週連続で放送されるドラマ「ハゲタカ」(NHK)が注目を集めている。バブル崩壊後の外資系ファンド対日本の銀行&企業を描いた意欲作だ。原作は真山仁氏の「ハゲタカ」と「バイアウト」。
 物語はニューヨークの敏腕ファンドマネジャー・鷲津(大森南朋)が5年ぶりに帰国するところから始まる。三葉銀行出身の鷲津は帰国直後から三葉の不良債権を買い叩いて莫大な利益を得る。これに反発するのはかつての先輩で、三葉のエリートバンカーの芝野(柴田恭兵)。ドラマは2人の対立を軸に描かれる。
 だが、外資ファンドは悪玉、日本のバンカーは善玉という単純な話ではない。訓覇(くるべ)圭ディレクターは「だれが善でだれが悪ということを決めないドラマにしたかった」と制作の意図を語る。
 鷲津が買収するのは護送船団方式にどっぷりつかって競争力がなくなっていたり、社会のルールを守らなかったり、同族経営が続いて活力を失った企業である。バブル崩壊後の激動は起こるべくして起きたもので、“失われた10年”は何が原因だったのかをドラマチックに描いている。
 冒頭で「人生の悲劇は2つしかない。ひとつは金のない悲劇、もうひとつは金のある悲劇」という言葉が流れる。ITバブルにも通じる“思想”で、登場人物は金に踊らされて我を失っていく。まさに今日的なテーマといえるだろう。
 大森の熱演が光る。収録前に肺がんを患った柴田の鬼気迫る演技も見逃せない。第1話で老舗旅館のオーナーを宇崎竜童が演じているが、老獪な味わいが出色だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070219-00000005-gen-ent