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2007年02月19日(月) 00時00分

自殺 遺族らも支援 朝日新聞

  横浜市は来年度から本格的な自殺予防対策に乗り出し、家族や友人を自殺で失ったひとの支援にも力を入れる。06年に制定された「自殺対策基本法」を受けたものだが、全国的にも先駆的な取り組みとなる。07年度当初予算案に1千万円を盛り込んだ。

(二階堂友紀)

  1月29、30の両日、市は初めて自殺で遺(のこ)されたひとのためのホットラインを設置した。精神保健福祉課によると、かかってきた電話は計15件。ただ、10年以上たっても悩み続けているひとがいるなど、深刻な状況がうかがえた。

  「これまでは遺されたひとを対象にした専門の窓口がなかったので、現状を知るために実施した。件数は予想より少なかったが、改めて必要性を認識させられた」と大貫義幸課長は話す。

  同課は来年度、同様のホットラインを30回前後行う方向で検討している。相談員には臨床心理士などの専門家を配置し、将来的には常設したい考えだ。

  ホットラインでは「県内に同じ立場のひとと語り合える会があれば」との声が複数寄せられた。このため集う場所を提供するなどして、団体の育成にも協力する。

  また、県や川崎市と「自殺対策連絡協議会」を設置。医療機関や県警とも連携し、現状分析や対応の検討をする。講演会も年4回程度開き、区の職員を対象にした研修会もしていく。

  市は02年度、精神保健福祉法に基づき「こころの健康相談センター」を開設し、夜間・休日の電話相談などに取り組んできた。03〜04年度には市衛生研究所と自殺の傾向を調査。配偶者を亡くしたひとや離婚者、高齢者の単身世帯で自殺の危険性が高く、中区、南区、西区で自殺率が高いことが分かった(当時)。

  一方、専門家からは、周囲に自殺者がいると自殺のリスクが高まると指摘されており、遺族らへの支援も自殺対策の重要な一環と考えられてきた。自殺対策基本法にも「自殺者や自殺未遂者が親族らに及ぼす深刻な心理的影響が緩和されるよう、適切な支援を行う」と明記された。

  厚生労働省の人口動態統計によれば、05年度の自殺者は県内で1707人、横浜市で654人。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000702190004