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2007年02月19日(月) 00時00分

米軍機の整備継続か 「岩国移転は困難」朝日新聞

  在日米軍再編で厚木基地(大和市、綾瀬市)から岩国基地(山口県)に移転する空母艦載機部隊の整備が、移転後も厚木基地を拠点に行われそうだ。基地に隣接し、国内で唯一米軍機の整備を請け負っている「日本飛行機」(本社・横浜市)の整備工場が岩国に移転しない可能性が高いためだ。日本飛行機の幹部が朝日新聞の取材に「現状では岩国への移転は難しい」と述べた。米軍の整備部隊は厚木に残ることがすでに明らかになっており、長年騒音に悩まされてきた住民は「整備のために艦載機が定期的に厚木に立ち寄れば、騒音が続くのではないか」と懸念している。

(渡辺丘)

  在日米軍再編では、厚木基地の空母艦載機59機が岩国に移転することが決まった。しかし、岩国市が受け入れに反対している上、移転後の運用もほとんど明らかになっていない。

  米軍の整備部隊について、昨年6月の衆院安全保障委員会で額賀福志郎・防衛庁長官(当時)はこんな説明をした。

  「おそらく日常的な整備機能は岩国に移転すると思うが、定期整備や本格的な整備は引き続き厚木に残る部隊が実施する。自動車に例えれば、日常の修理は現地で行うけど、車検みたいなものは大きなところでやるということだと思う」

  日本飛行機によると、米軍機の整備は、毎回の飛行前後の日常整備▽100時間程度の飛行ごとの中間的整備▽通常5〜6年に一度の重整備——と段階的に行われる。このうち、日常整備と中間的整備は現在、米軍の整備部隊が主に担当し、重整備は日本飛行機と米本国の軍や企業が分担しているという。このため、日本飛行機の整備工場移転の見通しが一つの焦点になっていた。

  同社の森川良太・航空機整備事業部長は朝日新聞の取材に対し、「岩国には工場用地がなく、必要な技術レベルの人員も確保できない。移転は難しい。今後、民間機に力をいれていくためにも(首都圏にある)本社に近い現在の場所の方が都合がいい」と述べた。

  3次にわたる基地騒音訴訟を中心的に担ってきた「厚木基地爆音防止期成同盟」の鈴木保委員長は「空母艦載機部隊が移転しても、修理に戻ってきたらたまらない。修理機能など付帯施設が移転しない限り、騒音の軽減は信用できない」と話している。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000702190003