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2007年02月19日(月) 00時00分

現場知る目で弁護士熱演 武蔵野朝日新聞

 俳優、脚本、演出、すべて弁護士が担当。テーマは「リフォーム詐欺」と「振り込め詐欺」。そんな寸劇が3月10日、東京都武蔵野市の武蔵野公会堂で上演される。多摩地区の弁護士たちが4年前から、その年の話題になった社会問題などをテーマに演じてきた。被害者の救済に奔走するその道のプロならではの「迫真の演技」が好評だ。 (三沢敦)

 東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会の各多摩支部の主催。「これで撃退!悪質商法」のタイトルで、上演時間は45分。昨年10月に弁護士登録したばかりの新人を中心にした「俳優」たちが2幕形式で被害者や加害者を演じる。

 1幕は訪問リフォーム詐欺のシーン。築30年近い家に住み、認知症で寝たきりの夫と2人暮らしの年老いた妻が被害者だ。加害者はすでに屋根工事を高額で請け負いながら、今度は屋根裏が危ないなどと言葉巧みに次々と工事を勧める。

 2幕は、医療過誤を装った振り込め詐欺。被害者は母親で、医者をしている息子が医療ミスを起こしたという電話を受けて気が動転する。加害者は4人の詐欺グループで、電話口でそれぞれ息子、外科部長、被害者の兄、被害者の弁護士役を演じる。母親と一緒にいる娘は医療ミスの話を最初は疑うものの、被害者の弁護士と名乗る人物が電話口に出たことで結局、母親と一緒にだまされる、という設定だ。

 二つのシーンをナレーションでつなぎ、巧妙な手口と被害の実態を紹介。その後、パネルディスカッションに入り、悪質商法の撃退法について話し合う。

 弁護士たちが寸劇に取り組むようになったのは03年。各多摩支部が設立された翌年の99年以降、PRを兼ねて毎年この時期に講演会や映画上映などのイベントを開いてきたが、学生時代に演劇活動をしていた中堅弁護士が中心になり、寸劇に切り替わったという。

 寸劇のテーマは、その年ごとに話題になった社会問題。昨年は「ドメスティックバイオレンス」を裁判劇に仕立てた。

 回数を重ねるごとに観客も増えてきた。普段は見られない「先生」の演技を見たさに出演弁護士の依頼人も訪れる。気をよくした若手弁護士から「今年も出たい」というリクエストも少なくないという。

 実行委員会の麻生光弁護士は「振り込め詐欺は、どの弁護士も一度は引き受けている。それだけに台本や演技にもリアリティーがあります」と話す。

 開演は10日午後2時から。パネルディスカッションは、「遺言状を書いてみる」などの著書がある木村晋介弁護士がコーディネーターを務める。入場無料。

 問い合わせは東京三弁護士会多摩支部事務局(042・642・5000)へ。

http://mytown.asahi.com/tama/news.php?k_id=14000000702190002