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2007年02月18日(日) 01時43分

2月18日付・編集手帳読売新聞

 かつては、洗い物は冷水で行わざるを得なかった。寒中などは大変だった。炊事や暖房用として、木炭や豆炭、練炭が使われていた。このため、一酸化炭素中毒の事故や火災の話もよく耳にした◆ガス器具や電気器具が普及して、人々の暮らしは実に便利で快適になった。便利さ、快適さだけを享受できればいいのだが、例えば自動車が普及して交通事故の悲劇が絶えないように、負の側面を完全になくすことは容易でない◆経済産業省の都市ガス事故情報データベースなどによると、1980年代以降、湯沸かし器、ストーブ、コンロなどガス器具の使用による一酸化炭素中毒とみられる事故で、約540人が死亡したという◆製品の不備や欠陥、改造が原因で事故が起きた場合は、メーカーは速やかに使用者に周知徹底し、回収や点検を行うべきだ。これは争いの余地がない。しかし、使う側が適正さを欠いた場合、どの段階でどう対応するかは難しい問題だ◆換気扇を回さず、またススやほこりを付着させたまま使い一酸化炭素中毒になるケースも目立つという。安全装置も万全とは限らない。使う側も製品の注意書きを読み、不具合を感じたら点検に出すことを忘れてはならないだろう◆事故が多発していたのだから、経産省もとっくに明快な公表ルールを設けておくべきだった。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070217ig15.htm