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2007年02月18日(日) 00時00分

ホームレス対象宿泊所 1年超す利用6割朝日新聞

  求職活動をするホームレスが一時的に利用するため、民間事業者が運営する「無料低額宿泊所」。だが、千葉市内では、1年以上滞在している利用者が6割を超すことが、同市のまとめでわかった。市は事業者に対し、利用者が3カ月程度で自立できるよう、ハローワークに同行したり職を紹介したりするよう求めてきたと説明する。だが、不十分な点があったことも認め、今後、福祉事務所との連携を強めて、より積極的な取り組みを指導するという。

 「無料低額宿泊所」は、社会福祉法に基づき、自力で生計を立てることが難しい人に対して、無料または安価で提供する簡易住宅や宿泊所。

 同市地域保健福祉課によると、市内に開設されている施設に無料のものはなく、利用料は1カ月4万5千円ほど。01年以降、施設数と定員が増え、01年度は3施設(定員128人)だったが、06年11月末では16施設、定員は1021人に増えた。現在の利用者数は947人で、ほとんどが生活保護を受けている。

 年齢構成は、50〜59歳が40・7%ともっとも多く、次が60〜64歳の38・5%と、中高年者が多い。その利用期間を見ると、1年以上利用し続けている人が6割以上と多い。中でも、2年以上がもっとも多く42・8%。6カ月以上1年未満が22・1%、1年以上2年未満が18・4%と続く。

 背景には、「64歳までは就労可能にあたる」(同課)としながらも、実際は55歳以上の就職は厳しいという現状がある。また、借金の取り立てに追われるなどの事情を抱えた人が、住民票を移さないため、ハローワークから職業のあっせんが受けられないケースもあるという。

 市は無料低額宿泊所についてガイドラインを定めており、その中で「利用者の自立支援のため、(中略)求職情報の提供や就労指導をする」と規定。入居者を短期間(約3カ月間)で自立させるよう求めている。

 しかし、実際には「ガイドラインによる指導にも限界がある」(同課担当者)。強制力がないため、施設によって取り組みにばらつきが出ていたという。今後は、福祉事務所との情報交換を頻繁にしてもらうなど、指導を強めていく方針だ。

http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000702180002