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2007年02月18日(日) 03時04分

外為取引で追徴100人、申告漏れ半年で計20億円読売新聞

 個人投資家向けの外貨金融商品として人気の高い「外国為替証拠金取引」(FX)で多額の利益を得ながら税務申告を逃れたとして、投資家が国税当局から相次いで追徴課税されていることが分かった。

 昨年12月までの半年間だけで100人を超え、申告漏れ総額は約20億円に上るとみられる。1年間で数億円の利益を上げながら無申告の投資家もいた。取引業者には一部を除き、個別の取引を記した書類を税務署に提出する義務のないことが、相次ぐ申告漏れの背景にあり、税法の不備が浮かび上がった形だ。

 外為証拠金取引は、元手となる証拠金の数倍から数百倍に上る米ドルや欧州ユーロなどの外貨を売買し、為替の変動による利益を狙う。リスクも大きいが、わずかな手持ち資金でハイリターンを期待でき、インターネットで24時間取引できることもあって、投資家の人気を集めている。

 税法上、外為証拠金取引で生じた利益は、個人の場合は雑所得として他の所得と合わせて課税対象となる。給与収入が2000万円以下のサラリーマンでも、外為証拠金取引を含む副収入が20万円を超えれば、確定申告が必要だ。

 ところが、関係者によると、申告漏れを指摘された投資家のほとんどが、外為証拠金取引による利益を全く申告していなかった。他人名義で取引する悪質な例もあったという。

 外為証拠金取引には、証券会社などの業者が独自に取引する店頭取引と、東京金融先物取引所が設けた取引市場「くりっく365」での取引があるが、登録業者190社のうち、くりっく365の参加業者は11社だけで、大半は店頭取引が占める。税法上、くりっく365の参加業者は取引を記した書類を税務署に出さなければならないが、店頭取引の業者にはその義務がない。このため、国税当局は投資家が取引で得た利益を把握しづらいのが現状だ。

 追徴課税された投資家の中には、業者から「税務署に書類を提出しないので申告しなくても分からない」などと言われた人もいた。外為証拠金取引では大きな損失を被ることもあり、「過去の損失と相殺すると利益はゼロだ」と判断して申告しなかった人もいるという。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070218i101.htm