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2007年02月17日(土) 00時00分

障害者の自立 豆腐で支援朝日新聞

 松戸市の新京成線上本郷駅近くに1軒の豆腐屋がある。店名は「とうふ工房 豆のちから」。障害者の自立と社会参加を目指すNPO法人「まつかぜの会」が06年11月にオープンさせた。知的障害者が豆腐作りから販売、配達までかかわっている。宮城・蔵王山水仕込みの豆乳を仕入れて作る豆腐はほんのり甘く、濃いめの味。好評で繰り返し買ってくれる人たちが増えているという。

 「まつかぜの会」は理事長の柳町美恵子さん(56)が自分の住む松戸で豆腐屋を開くために設立したNPOだ。運営する店のスタッフは柳町さんを含め大人5人と、19〜37歳までの知的障害の男性1人と女性4人。

 障害者たちは豆腐作りはもちろん、接客、配達助手も行う。19歳の女性は「豆腐作りも楽しいし、商品の説明をして、お客さんから『説明がうまいね』と言われるとうれしい」と話す。

 きっかけは約5年前だった。福祉関係のセミナーで、宮城県蔵王町の知的障害者授産施設「蔵王すずしろ」では豆腐の製造から販売に障害者が加わっていることを知ったことからだった。

 柳町さん自身、障害がある息子を持つ。重度ではないのに就職で苦労する障害者や親を多く見てきた関係から、良質の商品を作って売り上げを伸ばすことで障害者の自立につなげたいと思っていた。身近な「豆腐」はその思いに合致した。

 だが、まったくの素人だった。昨春から店舗場所探しなどの準備と並行して、「蔵王すずしろ」で研修を受けるなど「修業」を重ねた。

 「蔵王すずしろ」から仕入れた豆乳に、天然にがりを混ぜて作る。大豆はエグ味が抑えられ甘みのある宮城県産のミヤギシロメ。「かき混ぜる力の入れ具合や時間とかの加減が難しい」と柳町さんは話す。

 商品は「よせとうふ」(210円)、「ざるとうふ」(230円)をはじめ、「豆乳ごまプリン」(180円)など。店売りだけなく、1丁からでも注文を受けつけて配達する。

 柳町さんは「今後は安定した売り手先の確保を目指し、障害者のお給料をアップさせたい」と意欲をみせる。

 平日午前9時〜午後6時半の営業で、週3日は注文販売の配達(主に松戸市内)もする。

 問い合わせは同店(電話047・369・2715)へ。

http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000702170001