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2007年02月17日(土) 00時00分

住基ネット訴訟 住民敗訴朝日新聞

 所沢市や小川町などの住民が国や県などに住基ネットの差し止めを求めた訴訟で、さいたま地裁は16日、原告側の請求を全面的に退けた。原告側は「今までの判決の中で最悪だ」と憤りをあらわにし、控訴する方針を明らかにした。

 「極めて不当な判決。無批判に行政に追随し、司法の自殺と言わざるを得ない」。判決後の会見で、弁護団は声明を読み上げ、厳しく批判した。

 判決は、個人情報を検索、結合などするデータマッチングの危険性に言及したものの「概念自体多義的で、功罪を一律に評価することは困難」とし、「国側にお墨付きを与える」(弁護団)こととなった。

 渡辺千古(ち・ふる)・弁護団事務局長は「全く裏切られた内容。抽象論を展開するのみで、具体的な判断をしていない。プライバシー権について、各地の裁判所が住民の主張に向き合い議論を深める中、逆行する判断だ」とした。

 原告の浜林正夫さん(81)は「原告の意向を全くくみ取っていない」。原告の芹沢昇雄さん(65)は「住基ネットは公共を優先する制度だ。一度漏れた情報は戻らない」と述べた。

 総務省市町村課は「住基ネットの適法性や有効性といった国側の主張の正当性が認められたと理解している」との談話を出した。

http://mytown.asahi.com/saitama/news.php?k_id=11000000702170003