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2007年02月17日(土) 00時00分

熊谷4人殺傷 尾形被告に死刑求刑朝日新聞

 熊谷市で03年8月、飲食店従業員鈴木秀明さん(当時28)が殺害され、拉致された女性3人も殺傷された事件で、主犯格で殺人などの罪に問われた同市広瀬、ゲーム喫茶経営尾形英紀被告(29)の論告求刑公判が16日、さいたま地裁であった。検察側は「人命軽視の態度は顕著で矯正は不可能」と死刑を求刑した。

 冒頭陳述などによると、尾形被告は交際していた少女(当時16=殺人幇助(ほう・じょ)罪で5年以上10年以下の不定期刑確定)から鈴木さんに「体を触られた」などと聞かされ憤慨し、少女や無職少年(当時15)とともに鈴木さんのアパートを訪れ包丁で刺殺。たまたま現場を訪れた菅藤藍さん(当時21)らアパートに住む女性3人を、口封じのため秩父市内に車で拉致。包丁などで菅藤さんを殺害し、2人に重傷を負わせたとされる。

 検察側は論告で、少女から話を聞いた尾形被告が「おれにけんかを売った。やるしかねえ」と話していたことなどから、「当初から殺意があった。体面を守るために殺害した身勝手で反社会的な犯行だ」と指摘した。

 また、口封じのために女性3人を殺傷したことについて、「危害を加える理由もないのに自らの保身のために殺害を決意した。残忍で凶悪、人間性を感じさせない」と厳しく指弾した。

 尾形被告の責任能力について「動機が了解可能で、犯行時に合理的な行動をとっている」などとして、「完全責任能力があるのは明らかだ」と主張した。

 裁判では、尾形被告の精神鑑定をめぐり、(1)「責任能力を有する」(2)「被告の弁別能力、制御能力が欠如している」とする2種類の鑑定結果が証拠採用された。検察側は(2)について「殺意の発生時期について誤認がある」などとして「信用できない」とした。

 公判で、尾形被告は「当初から殺意があったわけではない」としながらも、起訴事実を大筋で認めている。ただ、弁護側は鑑定結果から「責任能力は完全には有していない」として、減軽を求める方針だ。

 尾形被告は上下黒のトレーナー姿で入廷。死刑が求刑されると、一瞬目を閉じたが、表情をほとんど変えなかった。

 3月9日に弁護側の最終弁論がある。

http://mytown.asahi.com/saitama/news.php?k_id=11000000702170002