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2007年02月17日(土) 00時00分

不適切650カ所交換朝日新聞

●電線支える「アーム」●
 四国電力 内規理解せず「見栄え重視」

  四国電力(本店・高松市) が設置している電柱上で電線を支える「アーム」 といわれる設備で、道路のカーブなど負荷のかかりやすい所で、支える力が十分でない種類のアームを設置した不適切な使用例が四国4県で約650カ所見つかり、交換をしていたことが分かった。台風が接近した05年秋に愛媛県で折れたアームが内規に沿わない設置方法だったため、調査していた。同社は「災害時の被害を最小限にするため、設計ミスを減らす努力をしたい」としている。

  四電などによると、愛媛県愛南町御荘平城で05年9月6日、国道56号のカーブにある電柱3本の「槍出型」 といわれるアーム(幅約1メートル、重さ39キロ) が、根元付近で折れた=図参照。6千ボルトの高圧電線が落下し、復旧作業が終わるまでの約11時間にわたり、周囲の2469戸が停電。道路も約120メートルの範囲で約2時間通行止めになったという。

  当時は大型で非常に強い台風14号が接近、時折強風が吹いていたが、アームの鉄製パイプ(直径11センチ) が根元で折れていたことを重く見て、原因を調査。折れた3本のアームのうち1本については、道路のカーブの形状から「引き留め型」という電線を支える力がより強いアームなどを使うべきなのに、内規の例に反して槍出型を使っていたことが分かった。

  付近の住民らは「風で落ちたもんだと思っていた。どうして落ちたのかの説明はとくに聞いていない」 と話した。

  同社は、アームの不適切な使用が折れた一因と見て、管内の約4万本の「槍出型」 アームを臨時点検。うち約650本がカーブや曲がり角など負荷がかかりやすい場所で使われていたため、06年1月から強度の強いものに交換し始めていた。

  内規に沿わない設置について「安全な使い方を示した内規を十分理解せず、建物や樹木と接触しないよう電線の距離を安全にとろうとしたり、アームの見栄えのよさを重視してしまったりしたため」 としている。

  また、こうしたアームの古いものは20年近く使われており、さびがひどくて強度に不安のあるもの約1800本を3月までに交換するという。

  四電の電柱を巡っては旧規格電柱が突然折れる事故が過去4件あり、ひびなどが見つかった約5万9500本のたて替え作業を進めている。

http://mytown.asahi.com/ehime/news.php?k_id=39000000702170004