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2007年02月17日(土) 08時06分

変額年金保険、解約で元本割れ注意朝日新聞

 大手銀行による変額年金保険の販売が伸びている。運用成績が良ければ年金額が増えるという期待に加え、顧客が死亡した時にもお金が支払われる保険商品であることが人気の理由だ。ただ、主流の「元本保証型」であっても、中途解約すれば大幅に元本割れする恐れがある。説明不足によるトラブルも絶えず、金融庁は販売手法に問題がないか、銀行への検査で重点的に調べ出した。

 銀行は02年10月に保険会社の代理店として、変額年金保険の販売を開始した。商品を作った保険会社が直接に販売する割合は少なく、「銀行などを通じての販売が9割以上」(保険業界関係者)という。三菱東京UFJ、みずほ、三井住友のメガバンク3行の販売累計額は、昨年9月末時点で約3兆7800億円に上り、前年同期より6割以上も増えた。

 「解約金を取られるなら契約しなかった」。昨年7月、首都圏の消費生活センターで78歳の女性が訴えた。1月に自宅で顔見知りの銀行員に勧められ、運用期間10年で元本保証型の変額年金保険に1千万円を投じた。だが後日届いた保険証書で「1年以内に解約すると70万円の費用がかかる」と知った。

 保険会社の説明によれば、変額年金保険を早く解約すればするほど解約金は高くなる。保険会社の利益や経費を確保することに加え、販売を仲介した銀行に支払う手数料コストを一気に回収しなければならないからだ。

 ある外資系保険会社の主力商品の場合、保険料1千万円で契約して、1カ月後に解約すると、その間の運用損益を考慮しなければ、解約金を差し引いて戻ってくる金額は約927万5千円に過ぎないという。ただ、運用成績が良ければ、中途解約しても元本割れしないケースもあり得る。

 国民生活センターによると、銀行が販売する年金保険についての、全国の消費生活センターへの相談件数は05年度で約200件。株価堅調で運用がうまくいっているはずの06年度も2月6日時点で125件に達した。

 金融庁は「今後、株式市場が反落したら、銀行の説明不足で売られた商品への苦情が、さらに表面化しかねない」とみて、警戒を強めている。

http://www.asahi.com/life/update/0217/004.html