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2007年02月17日(土) 02時20分

美浜原発、無検査で溶接工事…炉心冷却の配管2か所読売新聞

 関西電力は16日、定期検査中の美浜原発1号機(福井県美浜町)で、電気事業法に基づく検査を受けないまま、緊急炉心冷却装置(ECCS)の付属配管2か所の溶接工事をしていたと発表した。

 経済産業省原子力安全・保安院は同法に違反する疑いがあるとして、関電の全原発11基で同様の検査漏れがなかったかどうかの調査を指示した。

 関電によると、原子炉停止後に炉内を冷やす余熱除去系統から、放射性物質の濃度を確認するため冷却水のサンプルを取る細管で、強度を増すための溶接を計画。電気事業法では溶接工事は国の検査が義務づけられており、通常、国の検査機関「原子力安全基盤機構」が工程を事前に確認し、工事に立ち会うなどして検査を実施しているという。ところが、関電は同機構に工事の実施を申請しないまま、昨年12月19日に溶接していた。

 16日に書類を確認していた下請け会社の社員の指摘で発覚。関電は再起動に向けて原子炉に入れていた核燃料を抜き取り、溶接部分を取り外し、改めて同機構の立ち会いのもとで溶接をやり直す。1号機の定検では計133か所で同様の溶接工事が行われていた。関電は「法定の検査を受けなかった重大なミスと受け止めている。なぜ申請が出ていなかったのか、原因を究明したい」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070216it20.htm