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2007年02月17日(土) 01時10分

視聴者「月間」意見が過去最多…「あるある」抗議集中読売新聞

 視聴者からの批判や苦情を受け付ける第三者機関「放送倫理・番組向上機構」(BPO)に先月寄せられた月間の意見総数が、2003年7月の設立以降、最多の1348件に上ったことが分かった。

 捏造(ねつぞう)が発覚した関西テレビ制作「発掘!あるある大事典2」への抗議の声が集中したほか、遺体を切断した殺人事件への過剰な報道姿勢など、各局のワイドショー番組への批判も相次いだ。

 BPOによると、電話やファクス、電子メールなどで昨年12月に寄せられた意見総数は664件だったが、翌1月はほぼ2倍に膨れあがった。通常は多い月でも800件程度だが、「あるある大事典2」に一つの番組としては最多の148件の意見が寄せられたことが大きな要因。この問題については、番組内容への批判のほか、「幹部への処分が甘すぎる」など、放送局や放送業界の責任を問う声も195件あった。

 「あるある」問題以外で目立ったのは民放各局のワイドショーへの意見で、全体の22%にあたる296件に上った。都内で相次いだ殺人・遺体切断事件を巡る番組に関しては、「殺害手口の詳細をCGで再現するのは不愉快」「『性的な興味を持っていたと考えられる』というコメンテーターの発言は、あくまで仮説であることを強調すべき。ただの憶測を間違いないかのような言い回しで語ることに嫌悪感がある」「『切断が上手だった』とコメントするなど、人の生死に対する感覚がマヒしている」などの批判があった。

 BPOの小川通正・視聴者応対担当総括は「ワイドショーについての意見は、番組名やコメンテーターの固有名詞が違うだけで、『検証もなしに憶測でものを言い過ぎる』という内容がいつも多い」と指摘する。

 藤竹暁・学習院大名誉教授(メディア論)は「ワイドショーは社会の出来事を分かりやすく見せるということでは評価すべき点も多いが、番組数がこれだけ多いと制作者の意思にかかわらずジャーナリズム機能を持つようになる」と説明。「司会者やコメンテーターに要求されるのは、そのことを自覚したうえで誰もが言いそうな常識論ではなく、視聴者に考える材料を与えられるように発言することだ」と、注文を付ける。BPOでは視聴者からの意見を、関係する放送局に伝え、問題点を自主的に改善するよう促していく。

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20070216it19.htm