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2007年02月16日(金) 00時00分

職業訓練歴ICカードなど年長フリーターらの就職支援拡充ZAKZAK

 政府は15日、格差の固定化や低所得者層の拡大の防止を目指した「成長力底上げ戦略」の基本構想をまとめた。職業訓練歴を記したICカードを配布するなど年長フリーターらの就職支援の拡充や、生活保護世帯の自立を促す施策が柱。16日の経済財政諮問会議に提出、6月に決定予定の「骨太の方針」に反映させ、2008年度から本格実施する構えだ。

 野党などから格差問題への対応が不十分との批判が強まっているだけに、底上げ戦略を安倍政権としての対応策の目玉としたい考え。しかし、具体策には乏しいといえ、思惑通りの効果を上げられるか難しい情勢だ。

 構想は、(1)フリーターらの人材能力の形成(2)公的扶助を受ける世帯の自立を図る就労支援(3)中小企業への支援—が3本柱。人材能力の形成では、国や自治体と産業界が連携し職業訓練の機会を増加。こうした訓練の履修証明や職歴などを記したICカードを希望者に交付し、求職活動をしやすくするとした。

 就労支援では、3月をめどに政府と労使代表による「戦略推進円卓会議」(仮称)を設置。生活保護世帯や母子家庭の就職率を現在の5割から6割への引き上げなどを実現するための5カ年計画の策定や、最低賃金の中長期な引き上げ方針について合意形成に取り組む。

 基本構想を決めた成長力底上げ戦略構想チーム(主査・塩崎恭久官房長官)の会合後、会見した大田弘子経済財政担当相は、「仕事をめぐる社会のあり方を変える政策パッケージになった」と述べた。今後、構想に沿って実効性のある施策を打ち出せるかが問われる。

 【年長フリーター】パートやアルバイトなどの非正社員のまま、20代後半から30代前半に差しかかったフリーターは、2005年時点で100万人近い。バブル崩壊後の1990年代後半に企業の新規採用が絞り込まれ、希望の就職がかなわずに離職したり、正社員への転職が難しくなったりしたことが原因とされている。景気回復とともに最近は新卒者の採用が活発化、フリーター全体の数も減少に転じたが、能力開発の機会が乏しい年長フリーターは取り残されつつある。年齢が高くなるほど正社員との所得格差が拡大し、未婚化や少子化を加速することや、多いとみられる年金保険料の未払い者の影響も懸念されている。

ZAKZAK 2007/02/16

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