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2007年02月16日(金) 22時55分

バス火災、4年で86件…不適切な点検・整備が大半読売新聞

 全国で事業用に使用されている路線バスや観光バスなどで起きた車両火災が、2003年から昨年までの4年間に86件にのぼることが国土交通省のまとめでわかった。

 エンジン付近からの出火が多く、原因は不適切な整備や点検が大半。乗客が避難した後に車両が全焼したケースもあり、同省は「乗客の避難が難しい場所で火災が発生すれば惨事に至る可能性もある」としており、バス事業者などに適切な整備、点検の実施を呼びかけるとともに、監査を強める方針。

 国交省は、昨年4月から8月にかけ、広島県内の山陽自動車道で走行中の大型バスから出火する事故が3件相次いだことを受け、本格的な調査を開始。交通事故での衝突や放火などによる火災を除き、原因や傾向を分析した。

 同省によると、86件の火災のうち、半数の43件が、北海道、東京、広島、熊本などの路線バスで発生。うち、10件は、東京都交通局など公営のバスだった。

 火災の原因が判明したのは54件で、リコール(回収、無償交換)などに相当する車両の欠陥が原因だったケースは6件だけ。残りは、〈1〉3か月ごとの法定点検の際に排気管の亀裂や配線の緩みなどが見逃された〈2〉いったん外した部品が誤った方法で取り付けられて燃料漏れなどを誘発した——など、不適切な整備や点検が火災の原因だった。

 一方、バスの平均使用年数は約15年で、火災が起きたバスの約7割は10年以上使用されていた車両だったことも判明。ただ、登録後5年以内の車両でも10件の火災があった。同省では「車両の性能向上などによって使用年数は延びているが、整備や点検が適切に行われていれば防げたケースがほとんど」とみている。

 バスの乗客に死傷者が出たケースは1件にとどまっているが、少なくとも6件では、乗客が避難した後に車両が全焼。また、高速道路を走行中に前輪タイヤの後部から出火したり、運転手が異常に気づいてエンジンを停止させても煙が収まらずに消防に出動を要請したケースなど、一歩間違えば惨事の危険があったケースも少なくない。

 同省では「運転手が異臭や煙などに気づくのが遅れ、トンネル内など乗客の避難が困難な場所で火が広がれば惨事につながりかねない」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070216it17.htm