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2007年02月16日(金) 22時48分

「官製談合」を認定読売新聞

東急建設元副支店長有罪、県職員関与の証拠続々と

 県発注下水道工事を巡る談合事件で、東京地裁は15日、競売入札妨害(談合)の罪に問われた中堅ゼネコン「東急建設」の元東北副支店長、門脇進被告(63)に懲役1年、執行猶予3年(求刑・懲役1年)の判決を言い渡し、今回の事件を「官製談合」と認定した。県発注工事を巡る談合事件で判決がでたのは初めて。今回の事件では、県の現職職員の立件が見送られるなど「官」側の関与が明らかになっていなかったが、司法は明確に関与があったと判断した。

 判決はまず、県発注工事の実態について「かねてから恒常的に談合が行われていた」と指摘。中でもゼネコンの談合では、「“天の声”と称される発注者側の意向が重要視されていた」とし、会社社長、辻政雄被告(60)(競売入札妨害罪で公判中)が窓口役となり、佐藤栄佐久前知事の実弟、佐藤祐二被告(63)(同罪で起訴)の意向をゼネコン側に伝えていたと認定した。

 事件では、元県土木部長(65)が競売入札妨害容疑で逮捕されたが、その後、処分保留で釈放となり、現職職員の立件も見送られた。民間人に過ぎない祐二被告に佐藤前知事が与えた影響も明らかになっておらず、県側の関与は明確でなかった。しかし、公判では、県土木部の現職幹部(当時)と元土木部長が会合で祐二被告に工事の図面を見せるなど、県の関与を疑わせる証拠や証言が次々と開示された。毛利晴光裁判長は証拠調べを通じ、「(県内では)長年にわたり官製談合が繰り返されてきた」と認定した。

 一方、判決は今回の事件について「各業者間に談合担当者を配置し、仕切り役や調整役を中心に取りまとめをするなど、(談合は)業界ぐるみの構造を呈している」「談合体質が根深く染みついている」と悪質性を指摘。門脇被告から祐二被告側への1000万円の現金提供についても、「官製談合の悪弊が如実に現れている」と批判した。

 ただ、門脇被告の関与は「個人的な利得のためではない」とし、3年の執行猶予を付けた。弁護側は控訴しない方針。有罪判決を受け、東急建設は「特にコメントすることはありません」としている。

 辻被告の判決は22日、東急建設と共同企業体を組んで工事を落札した佐藤工業の元会長、佐藤勝三被告(67)の判決は28日に言い渡される。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukushima/news001.htm